東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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  • 話し手: 釜石稔さん
  • 聞き手: 福島空
  • 聞いた日: 2011年7月9日
  • 003/101
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被災したスタンドからの営業再開まで ―震災直後の混乱―

とにかく町内全店が閉店、破壊したからさ、ガソリンスタンド。9件あったけど、もう全部…。まあ1件だけ金沢地区の農協さんの、ただそこは灯油が専門で、ガソリン・軽油は春先と必要な時だけドラムで三本ずつ持ってきて、600リッター。

震災にあったときはさ、金沢農協に油があるって噂になって、それがほれ今はインターネットだの早いから、皆困っててさ、全部行ったの。なに、600リッターなんて、すぐだからさ、二時間だか三時間で、パア。灯油はさ、きちんと持ってるんだけど、地下タンクに。だけど、そういう車に関しての方は無がった。だから結局町内全部供給ストップしてさ。一時的だけど。

そして、セルフスタンドのあれが、弘前の方が経営されてるんだけどさ。その人はお利口さんだった。岩手県の対策本部にすぐ電話した。在庫も施設も無償で貸すから、復旧してくれって。なかなかなー、それなりの規模の会社のスタッフは考え方が違うんだね。いろんなどこの情報も入ってくるでしょ。我々は被災そのものだから。彼らはただ3人4人だけさ、雇っておるから。もちろん、ここだけでなくあちこちに店舗を持ってるからさ。んだからぁ、お利口さんだなって。我々も無償でやるって言ったけども、県が、全部押えてしまったからさ。輸送基地がある、釜石に。あれを岩手県が押えてしまった。それで各市町村に無償でやったから。だから、うちのなんかいらんわけだ。んだからぁ、しょうがねえからうちらは自力でやることんなったのさ。

 

ガソリンスタンドの40年50年問題

今回の震災は抜きにして、ガソリンスタンドがいま40年50年問題っていうのがある。地下タンクが40年経てばこういう設備しなきゃだめですよ、とかさ、50年たったら一切こういう事しなきゃだめですよとかさ、そういう消防法が今年の2月の1日から施行になった。私んとこは38年間。あと2年。そうすっとあと280万かければあと10年間やれるんだ。そして50年になれば1000万かけなきゃ、だめなんだ。あとは50年過ぎれば解体して、面積にもよるけど、ちょっと大きすぎるからさ、この辺のスタンドにしては。それなりにさ、かけなきゃだめですよって、いろいろ段階があったんですよ。

 

営業許可はあっさり

5月から営業を再開したガソリンスタンド

だけど、そんなのを抜きにしてさ、消防の連中が「はい、合格です」って持ってきたときにはさ、いまのスタイルでさ。「おまな!こんなので合格なんて人をばかにすんな!」って俺。

春と秋の火防週間ていうのがあるんですよ、いま全国指定ですから、消防庁の主催だから。その時ちゃんと立ち入り検査ってあるわけだ。その時はちょっとしたぁひび割れでもなんでも始末書書かされて、40年間。こんなのの合格だったら今までのスタンドは優等生だべって、大笑いしてさ。いやいやとにかく合格ですから、どうぞ3年間がんばってくださいってさ。

スタンドはハ全壊だから。も何もない。キャノピーから計量器から一切。たまたまうちの場合、地下タンクが健在で、検査したら生きておったから。ま、それでも多少あれだったけど。

普通はだいたい箱形のさブロックの高さが2mで、消防規制法で囲った形でやってるわけだ。消防法も周りには何もないのが条件。4m以上建物が無いのが大前提で、特殊な形で認めてるわけだ、今んとこのやり方は。4mどころか、なに、100m以上何もねんだもの。ハハ。

キャノピーも、うちが問題で国道45号塞いだとなっと、あどあど良ぐねぇからさ(笑)。震災の次の次の日、自衛隊が岩手県から10人入ったのさ、で部落の人たち20人ぐらい募って、エンヤサー!エンヤサー!で、キャノピーを下の畑に降ろしたのさ。あどは立派な家だったけど、3軒は、重機で壊して、国道は開通。インフラ整備ていう形で。

 

営業再開、お客さんは…

営業再開は5月中さ、比較的早い。いまはブロックも何もさー、塀も何もなく、そのままのさSPっていう簡易計量器って特殊な計量器で営業してるけどさ。発電機を使って一端地下からそれに汲み上げて、そっでそれから販売って。簡易計量器もいろいろ様々あってさ、特に新潟の大きい地震以降でさ、まったく緊急のやり方でやったスタイルらしい。

日曜は定休日じゃなかったんだけど、もう震災以降さ、ほれSPでやってるから手書きなんだよ全部。疲れんだよ。昔みたいなコンピューターでハ、給油終われば全て無断で東京の中央センターで処理してやるやり方じゃないから。んだから、しばらくの間日曜休みにしようということで。

営業は日曜以外毎日。金がねえから品物切らしてさ、おかげ様で結構みんなに助けてもらって、売れすぎて。ただ悪いことに、金さ入ってこねんだ。みんなツケで。顔でやるもんだから(笑)。で、仕入れるときはタダじゃ誰もよこさないから。品物しょっちゅう切らして、恥ばっかしかいて。

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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