東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

暮らしを語り、想いをつなぐ。

お問い合わせ

変わりゆく漁業、育ててきた漁場

高度経済成長、東日本大震災、それぞれの節目に立ち会って

005-top
  • 話し手: 東谷寛一さん
  • 聞き手: 代田七瀬
  • 聞いた日: 2011年7月10日
  • 005/101
ページ:3

ワカメを育てる ―農家と同じだよ、ワカメの養殖は―

 その後はワカメ、ホタテ、ホヤの養殖はじめたの。昭和40年頃から国の構造改善資金っていって、これから養殖事業出なければ、安定した生産ができないという国の方針もあってな。それに、その辺り(昭和40年頃)から、化学繊維が出て、ロープの強度が強くなったから。前は天然繊維のロープ使ってたから、養殖はできなかったの。海に入れておくと一年で腐ってしまうから。

 養殖ワカメは収穫する時期が、3月中旬頃から4月の下旬頃まで。準備で、ワカメの採苗ね、種採る作業。それが6月から始まって。種はメカブから採っから。養殖の錨のロープに天然が付着するのを使うようになったの。成熟したメカブを採って、24時間陰干しして。それは胞子をより成熟して、刺激を与えて種をいっぱい出させるためにな。

 24時間後に、そのメカブをまた海に戻して。そうすっと種がいっぱい出るから。で、それを最初は箸より細いロープに付着させる。そういうのをいっぱい暖簾のように作って、その作業が7月下旬からされんの。延べにすっとね、2,500mくらい。一本、200mだから。そのロープを、国から許可もらってる養殖漁場に入れんのね。

 そして、種が発芽する前に、保苗期間が2カ月か3カ月。10月にそれを軽く掃除して、10月の末頃になっとワカメの芽が出てくるの。11月の初めには種まきっていって、その芽が付いてるロープを、太いロープに巻きつけるわけ。直径24mmくらいのロープ。それを2cmか3cmに伸ばして。それで収穫するまでに、自然に海から栄養をとって成長すっからね。

 それから3月の収穫までは、雑草が生えれば手入れして、ワカメだけ伸びるように手入れするの。農家と同じだよ、ワカメの養殖は。畑と一緒。あとは時化(しけ)が来た時に絡まってないかどうかとか見に行ったり。

 3月になると、1m50くらいまで成長すっから。平均すれば、一本4tくらいになるかな。4tから5tくらいね。だから、50?60tの収穫ができるの。

 親父の代は養殖できても加工の環境がまだ整ってなかったから、一本一本、稲を干すようにして乾燥ワカメにしたの。天気に左右されっから、乾燥が進まないとワカメ採る方も休まねばならんだ。

 昭和60年頃からかな。加工技術が進んで、ボイル加工塩蔵になってから、収穫を多くしてもこなせたから、数量も増えたの。合わせて船も大型化して。ワカメの加工では、10人くらい手伝ってもらってる。

 箱詰めにして組合に出荷して、漁協の共同販売で県漁連で大手に入札されて、後が消費者に出回っているって感じ。ブランドで回ってっから、岩手県産のワカメは、普通のワカメよりも高い値段だね。

 

ホタテを育てる ―ホタテは2年かかるからね―

  ホタテは、6月から2月頃まで出荷するのね。ホタテはワカメと違って、野菜のようにその年植え付けて、その年収穫できるというスパンでねぇから、2年かかる。ホタテは、家族労働で。それに出荷の期間も長いの。15tから20tくらい出荷すんのかな。ここのって日本で一番高いの。でっかいしね、貝柱が高くて。津波前は、10k5,000円してる。

 岩手で養殖ができるようになったのが、昭和45,6年頃からでねぇかな。ホタテは北海道から種を、稚貝を買ってくるの。3?くらいの。地元で稚貝を採苗するには、採苗袋に付着させてね。4月の末頃から5月の中旬頃の間で、母貝から出た種が海の中を浮遊すんのね。その時期になると、中さ網を入れておくと、浮遊した種が回ってきて袋にくっついて成長する。そういう習性があんの。それが、8月頃までにだいたい20?から30?くらいまで成長するの、2か月くらいで。

 それ取って、小さい真四角のネット入れて。一つのネットに10個から12個くらい入れてネットを海底に連結させて、13から17段くらい。水深10mから30mに沈んでいくのね。だから、一連の中には200個くらい入っているんだな。12月から翌年の6月頃に7、8cmくらいになるから。

そうしたら、貝の耳に穴開けて合わせて、テグス(アゲピン)で100個から150個くらい繋げて、海に吊るすのね。それこそ、穴開けるのも連動の機械があんのね。それが700?800連くらい吊るすの。その作業は一カ月半くらいでやる、家内や息子と一緒に。一日に5千個?8千個。この作業やってから、一年半か二年くらいで、出荷できるような大きさになるの。12cmから、大きいのは15cmくらいまで成長する。1年の収量数が10万個から12万個くらい。全部機械導入して。

 

春を待つ ?息子たちがワカメを再開するってことで―

 漁で若い世代が働いていく場とか、漁業組合の組織とか、それこそ変わっていく必要があっと思うね。オラの勝手な悩み。でも、これからサケが順調に採れるようになれば、浜も活気づいてくるんじゃないかな。みんな期待してっと思う。

 うちの息子たちがワカメを再開するってことでやってるけどもね。息子は漁師をやって20年くらいになるな。来年から、少しでも収穫できればってことで。順調にワカメが成長してくれれば、復興につながっていくとおもうんだよ、来春。

 

【プロフィール】

話し手:東谷寛一さん

小さい頃から漁業を手伝い、三代目の漁師として、主にワカメやホタテ、カキの養殖をされてこられた。吉里吉里の中では消防団の分団長などもされ、今回の震災の対応に当たっては、避難所の本部長を務められた。

聞き手:代田七瀬

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス研究所上席所員(訪問)

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
「聞き書き」とは 詳細はこちら 一覧はこちら