東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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吉里吉里に生まれ育って

漁師の町で、家族とともに

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  • 話し手: 川原とよ子さん
  • 聞き手: 西田一平太
  • 聞いた日: 2011年7月30日
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5人の子供たちと

 大槌病院で22歳で長女を産んで、4人まではそこで産みました。その病院も婦人科が無くなりましたから、一番下の高校生の子だけは釜石の県立病院で産んだんです。そしたら、4080グラムあって帝王切開だったんですよ。大きかったから、どうしてもね。まさかそんな大きい子が生まれると思わなくてね、体重聞いてびっくりして。今も兄弟の中でまぁ一番身長はあるんですけど。お姉ちゃんたちは私に似て小っちゃい子で、小柄なんですよ。だけど、この人とお兄ちゃんが背が高いんです。

 5人だから、にぎやかって言えばにぎやかだったんですけど。当時はアパート住まいで家も狭いしね。子どもたちも3人も4人もね、まずいたったから、よく食べるし騒ぐし。一人騒げばほかも騒ぐから、小さい時はね本当に大変だったけど、まぁどうにかこうにか育って。今思えば、いい思い出になりました(笑)。学校に入ってても「宿題はやれ」って言ったったけど、そんなにしつこく「勉強せい」とかは言わない。好きなようにさせて。「宿題だけはしていけ」ってね、言うんですけど。あんまり勉強好きなほうじゃなかったんです、家の子どもたちは、みんな(笑)。

 福島の呉服屋さんでは洋裁学校にも行かせてもらったったんです。裁縫はまぁ嫌いなほうでないですから、前はミシンで自分のも何か作って着たったんです。子どもたちが小っちゃい時には、袖なしのチョッキ編んで着せたりして育ててました。それと、子どもが小さい時は結構雪が降ったから、家の前でね、雪だるま作ってやってたり、かまくら作って遊ばせたりしたったんですけど。雪かきがこんだね、大変ですもんね。力仕事。ねぇ、疲れるもんね、あれね。終わった後にはもう腰とこの腕が痛くて(笑)、大変なんだ。でも、子どもも一緒になってスコップ持って、こうやって雪かきしてくれてました。

 

やっぱり鮭が好き

 海のもの、やっぱり魚。漁師の町だから、魚がやっぱり食べたいもんね。生もの買ってきて下ろして食べたりするけども、避難所にいられたら、やっぱり生ものは持てないし。鮭はね12月で、鮭の時期は鮭。やっぱりね。3月から4月のワカメの時期にはワカメだし。ときにはワラビとかねフキとか山菜も食べたり。6月の休みの時にはうちの旦那が取りに行くから、山菜もあんまり買わないで食べてます。年中塩しておけば、いつでも食べられますからね。

 鮭は投げる所ないから食べ方いろいろあるんです。一匹貰うと三枚に下ろして、味噌溶いて鉄板で野菜を焼いて食べるちゃんちゃん焼っていうのがあるんですけど。あとは切り身にしてね、味噌汁とかフライものとかにして食べたりして。アラはアラでまた別にね、アラ汁にして食べたり、また塩だけで煮る、こっちでは。塩で味取って、その骨とか頭をね、煮て食べるっていうのもあるんですけど、またそれもまぁおいしいんですけどね。卵は身をほぐして塩水に漬けてザルなんかで水を切って、温かいご飯に醤油かけて食べます。醤油でする方とか一晩ぐらい置く人もいるみたいですけど、その人の作り方によって。オスの白子は結構煮て食べる人もいるんですよ。砂糖と醤油とみりんで味取って。でも、どうしてもね、感触がいやな人は食べないべと思う。投げる方もいるみたいですけど。私は投げないで、そこも食べますけどね。

 大きいも小さいも変わりねぇけど、銀鮭って一番おいしいんだで。皮が銀のやつがね。やっぱりフライにしたりすると一番銀鮭がおいしい。でも、新巻するにはそういう銀鮭でないほうの、ちょっと黒っぽしい皮のブナ鮭がおいしいっていうんですけど。そう、こっちでも新巻にするんです、塩しててからね。一週間くらい漬けて、あとは干して。それを後から切って焼いて食べて。生で貰って多い時にはそうして。保存食にもなるから。あと、親戚とか、新巻にして贈り物にしたりね。

 やっぱり一匹買って下ろしたほうが安いなと思って市場で買うことが多いんですよ。生で買うと安い所だと千円ちょっとだけど、干したの買うともう二、三千円するでね。だから、家で作る方が多いんですよ。何十匹も買ってきてね。そのほうが安上がりだって言って。

 

ワカメのしゃぶしゃぶもおいしいんです

 塩しない生のワカメの間抜き(あいだぬき)ってあるんですよ。ワカメが伸びてあんまり多いから、この間を抜いてくる。その小っちゃいのを家に貰ってきて。大きくなったやつじゃなくね、伸びかけたやつがおいしいんですって。小っちゃい土鍋をね、小っちゃいガスボンベの上に乗せて、ただ湯沸かしたのさ、こうただ生なの通して、湯をくぐらせて醤油で食べるんです。ええ。それが一番おいしいですね。茹でたの切って食べてもいいんですけど。熱いのを食べるからね、おいしいんですって。ワカメのしゃぶしゃぶっていうんですけど、ここら辺では(笑)。そうやって食べてる人も多いんです。

 すいとんは小麦粉を練って。すいとんの粉って売ってるんですけどね、できた時に柔い。で、それ、材料が煮立ったところに千切って入れたり。あとはね、味付け。醤油でする方もいるし、味噌でする方もいるけど、私は醤油で味付けしてから、食べますけど。おだしは、私、鶏肉で作りますけど。ほんだしで作る方もいる。

 あと、ぺらぺら汁ってね、後からとろみをつけて食べる味噌汁もあるんです、正月には。おだしを普通に取ってその中に材料、ニンジンとかダイコンとかゴボウとか豆腐とか入れて。そこ醤油で味取って。その最後に、片栗粉溶いたやつを入れると、とろみがつくんですよ。たまにお盆とかに作る家庭もあるけど、それもまたおいしいんです。

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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