東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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吉里吉里に生まれ育って

漁師の町で、家族とともに

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  • 話し手: 川原とよ子さん
  • 聞き手: 西田一平太
  • 聞いた日: 2011年7月30日
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大切な夏のお祭り

 夏は8月のお盆が終わってからお祭りも大盛りっていうか、踊りとか、ほら、獅子とか虎が出て、結構にぎやかです。去年までにぎやかだったんだけど、今年はあんだかないんだかね、この状態だから。大きな行事ってお祭りぐらいで、あとは別に。そういうのなくなると、本当に吉里吉里の町も何もなくなるね。遠くに行ってる方たちは。まぁお盆には帰ってくるべぇと思う、それが、祭りがなくなったらね。寂しいですね。

吉里吉里を練り歩く神輿

 前の日は神社で宵宮(よみや)ってあるんです。次の日が本祭りの行事なんですよ。神輿とか、そういう神楽とか、鹿踊(ししおどり)とかが、ずっと吉里吉里の町を歩くんですよ。海に行って、海から戻ってきて丁目ごとにグルッと回って。で、お寺のほうまで行って。夕方ね、4時頃まで掛かります。終わった後に神社の急な階段を上がって行くんです。そこをみんなが集まって見に来るんです。最後その神輿を下げる、その場所が見事なんですよ。私も小さい頃から毎年。神輿が見るのがみんな楽しみで。

 担ぐのは年男っていう、50代頭に40代ぐらいの方がね担いでます。うちの旦那もずっと毎年、厄男の時からずっと担いでます。子どもと一緒で祭り好きで。子どもたちも小さい時には、神輿になんかこう神楽っていうのさ飾って歩ったんですけど、もう大きゅうなったっけば、そういうのさ出なくなりました。神楽、こう被って、前で「ささらすり」ってやるんです。神楽を踊ってると、前に来てからこう拍子取る。なんていうんだかね。こういう棒を持って前で踊るっていうか、そういうのさ飾って歩ったんですけど。踊りは大人が踊るんですけど、子どもたちが前に立って太鼓と笛とで拍子取りながら。それに合わせて子どもも大人も一緒に踊って歩くんです。

 大晦日の夜は、お寺さんのほうで除夜の鐘をつきに行くんですっけに。夜、みんなでお寺まで歩いてって、そこで除夜の鐘ついて。お寺さん、にぎやかですね、その時はね。その帰りに神社に寄ってお参りして。縁日は出ないんですけど、まぁにぎやかです、神社も。部落の方が年越し蕎麦をご馳走してくれますから、それごちそうになってから帰ってきますけど。それで、参詣って、元旦の朝は浪板の滝に行ったり、あちこちの神社にお参りに行って。正月にはやっぱりお煮しめとかね、おせち食べたりね。あと、雑煮餅とすいとんなのかな。そういうの作る家庭が多いと思いますけど。

 

仮設住居への入居を前に思うこと

 最初私は吉祥寺ってお寺さんに1カ月とちょっといたんですよ。で、5月の末に小学校に避難されてた方と合同になってこの避難所に来たんです。私たちが小さい時は、中学校はここ(避難所の体育館)の隣に建ってたったんですよ。今は給食センターになってますけど。

 仮設は出来たんですけれども、電化製品が入ってないとかで、引っ越しは来月の10日頃でないと入居はできないんです。今日はもう鍵貰ってきたんですけど、まだ住まわれない。早くまぁ出て行きたいのもあるんだども、何カ月もいるからね。慣れちゃって、もうこの生活でいいかなと思ってて、まさかそうは行かないけど(笑)。こういう大勢の中にいてみんなとね話ししたりして暮らしたから、こういう広い所から急に狭い仮設さ行って慣れるまで今度は大変だこった。ね、おかげさまでね、ここでは風呂も入らせてもらって、本当にありがたかったです。

 ここにいる方たちも大人ばっかりだから、普段はしーんとしてて静かですけど。どうしてもね。でも、うちの孫が来ると結構にぎやかで笑ったりするんですよ。それで、「今日は来るの?来るの?」ってみんなによく聞かれますけども、やっぱり小さい子どもいると気持ちもこう、和やかになりますね。子どもが本当ね、命です(笑)。ねぇ、かわいいもんね。

 

【プロフィール】

川原とよ子さん

吉里吉里生まれ、吉里吉里育ちの主婦。大工の夫と、5人の子を育ててきた。

聞き手:西田一平太

公益財団法人 東京財団 研究員兼政策プロデューサー

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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