東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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海の恵みとともに

ウニの加工販売に生きた40年

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  • 話し手: 佐々木良子さん
  • 聞き手: 鈴木真理
  • 聞いた日: 2011年7月30日
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塩ウニと焼きウニ―釜石の繁栄とともに―

 40年以上前は、父親なりに大きくやってましたけどね。ウニ獲れる時期だけ、臨時で近くの人に手伝ってもらって。女の人5、6人は来てもらってね。ここも当時は結構たくさん獲れたんですよ。今は年々量も数もダメだけど。

 それを釜石に持っていって。その頃製鉄所が景気いいときだったから。景気のいいときっていうか、全盛時代ですから。釜石はだんだん人口が減って。ここも今漁業関係してる人でも、結構年いってきましたからね。年齢がもう高くなってきてね。

 塩ウニをつくるとき、うちで使うのは塩だけですね。生ウニに塩かけてだいたい1日ぐらい置く。水切った状態でできあがりです。昔のままですね。防腐剤も添加物もなし。

 昔は塩がきつかったですね。当時はウニの塩辛っていうくらいだからね。今は形が崩れないように、重しをかけないですから。昔は重し、塩をどんどん。今甘口なんですよ、お客さんの傾向は。それで塩はそんな多くできないのでね、冷凍保存ですね。

 焼きウニは、アワビの貝殻に生ウニをのっけて、直火で焼くんです。ガス入れて。何分でしょうね。計ってるわけでもねえから。目で見て触って。あと匂いがしますからね。それで触ってみて焼けてるか。そういう判断ですかね。機械使うわけでもないし。長年の勘というか。そんなもんですよね。

 父親が家でやってましたからね。それを見てましたから自然に覚えた。周りもやってましたからね。仲間の業者さんにも行ったりしてましたからね。別に違和感はなかったですね。父から特に教わったことはないけど、結果的には教わってるんでしょうね。まあだいたいみんなこうすればこうだっていう感じで。

 焼きウニだったら、2、3日はもちますね。それ以上だったら冷凍ですね。そうすると1年中売る分を一時期に作ってね。だいたいうちで7月の末頃までで作り終わるんですね。ちょうど美味しい時期ですよね。

 秋から冬にかけては、鮭の新巻作りしてます。ここで獲れる秋鮭。だいたい11月頃から12月頃。前はまあうちで作ったんだけど。6、7年前に釜石のほうの店舗を新しくしたらちょっと時間的余裕がなくなって。ここ何年かは、仲間の業者さんに頼んで作ってもらうような状況でしたね。釜石の店舗まで車で30分ぐらいです。

 店舗で販売している焼きウニの値段は、おっきいのだと2,000円ぐらい、小さいのだと400から500円ぐらいから。まあ色々ですよね。小さいのやおっきいの、その日によって作るんです。お客さんも色々ですかね。おっきいの1個の人もあれば、小さいの5個の人もあれば。色々大きさは揃えてましたからね。

 

海の幸―なんといっても地元のウニが一番―

 今ほれ、あんまり高いとね、安い輸入品が入ってるのがちょっとね。ロシア産とか中国産とか。チリとか。地の高いのは、値段的には全然おっつかないんですよ。でも味は違うと思いますよ。私らやっぱり輸入もんは食べれないですもんね。ほかの人からもやっぱ違うわなって言われます。風味ですかね。味そのものでしょうね。

 焼きウニをアワビの殻に入れて焼くっていうのは、この地域ではそうですね。私の小さいときから貝に入ってましたからね。この地域ではアワビも獲れるから。うちの母親たちの話を聞くと、昔は今の時期だとウニとアワビと、なんか味噌入れて焼いて食べたらしいんですよ。ずいぶん高価だねって言ってたけど。この辺アワビもいっぱい獲れたって言いますからね。ウニもいっぱい獲れましたからね、当時はね。

 アワビは加工してないですね。アワビは今ね、この辺でも輸出用。中国のほうでね、なんかこの辺のアワビがいいって。みんな干しアワビですね。中国の食材になるみたいですね。

 

家族総出でウニの殻剥き

 父がやってたころは、吉里吉里といったらアワビが獲れてウニが獲れて鮭も獲れるみたいな、そういうところだった。ウニですと、その家、その家でみんな手伝ってて、集荷するのに剥いて手伝う形かな。結構時間かかりますからね、1個ずつですからね。今はそれの器具があるんですよ、口を開く。それじゃなきゃ棘がありますからね。

 うちの父親が、子供の頃はよくスルメがいっぱい獲れると、学校休んでみんな手伝うもんだとは言ってましたけどね。当時は何でも獲れたみたいですね。人手がないんで、子供もみんな手伝って。今子供でも手つけない子が多いんじゃないかしらね。だってワカメの養殖なんかもね、中学校で今教育の一環として教えてるような感じですね。

 個人経営でも、ウニの加工をおっきくやってるところ結構あるんですよ。吉里吉里はうちだけで、私は片手間のような感じですけど、隣の船越、山田、後は大沢あたりでやってましたかね。家族でみんな携わって。みんな加工場が海のそばなんですよ、うちと同じで。だから、みんな被災して。私知ってるとこも1軒だけでしょうかね、水来なかったのは。やってる人がご夫婦で亡くなったところもあるし、あと全部うちと同じで流されたのもあるし。家族も、同業者で亡くなった人もいるし。

 うちの家建ってるとこはね、昭和8年は流れたとこなんです。土地がないからそこに建てたんだけど、だからまあそこで経営するのはいけないってことは常々言われてました。でも水産の加工をするにはやっぱり海のそばのほうが一番便利ですね。

 またここが復興して、ウニがちゃんと獲れるようになったらいいなと思ってるけど。そんときはそんときで考えようかなと思ってるけど、なかなかね、海があの状態見ると食べれそうにないわってみんな、10年もかかるんじゃないかって言われるから。

 この辺は今年は口開け(ウニ漁の解禁)はないって、もう最初に通達ありましたからね。みんな2、3年はダメなんじゃないかって話はしてるんです。この辺の漁師は、今はガレキの撤去が仕事で、それやってるけど。漁に出る人はないですよね。出れる状態でもないからね、まず。先に片づけないことにはね。

 流された冷凍庫の中にはウニの美味しいのがいっぱい入ってたのにね。まあ、どこさ流れていったんだかね。海で獲れたもんだから、海に流れたのかなと思うんだけど。

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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