東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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これからも、ずっと吉里吉里で…

大好きなソフトボールと孫とこの海と

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  • 話し手: 近藤欣彌さん
  • 聞き手: 中村会美子
  • 聞いた日: 2011年7月10日
  • 022/101
ページ:3

走り回るのが大好きで

大槌町のシニアソフトボールチームで活躍中

 定年後は、関連会社に3年間の契約で採用されたんです。だけども、どうしてもやりたいことがあって、我慢できなくて、関連会社を1年でやめたんですね。…実は、大槌町にソフトボールの60歳以上のシニアチームがあるんですよ。そこに入るため(笑)。場所は大槌です。吉里吉里からは2人、3人メンバーいますけどね。ポジションは主に外野です。走り回るのが大好きで。うってつけでしょ。あとね、64歳なってから、本を見ながらピッチャーの勉強も始めました。チームのメンバーの都合で、時々ピッチャーをやることになりましてね。釜石のチームにすごい速い球を投げるピッチャーがいてね。彼に負けない球を投げれるようになりたいですね。

 野球を始めたきっかけは、会社の対抗戦に出させられたんですよ。それからは、ずっとやっていますね。好きなチームは巨人です。卵焼きと同じ(笑)。でも、最近は、楽天にも興味あります。やっぱり東北ですからね。頑張ってほしいですよ。仙台の孫のとこさ行く時には、球場が近くなもんですから、試合見に行くこともありますね。

 

「入って。入って」って。みんな待ってるんですよ

 関連会社やめたときに、たまたま吉里吉里地区の民生委員の改選の時期だったんですよね。前任の方が来て「なんとかやっていただけないか」と頼まれまして。断れない性格なんですよね(笑)。まぁ、何かしら地域のお手伝いしたいと思ってましたので、正式にやることにしたんです。

 仕事は地域の実態把握と相談ごと。各丁目に1人ずつ民生委員がいるんです。4丁目にだけ2人。吉里吉里の地区と浪板、あと児童委員を含めて全部で7人いました。

 私の担当は吉里吉里3丁目です。その範囲の130から140ある世帯の中に14、5人の高齢者の独り暮らしがありますよ。65歳なったばかりの若い方から、80歳超えてる方もいましたよ。そういう方を月に一回訪問するんです。元気にしてるかなって。私が行くとね。みんな待ってるんですよ。「入って入って」「お茶飲んできな」って。

 去年の12月1日が改選期で、それで3期目の委嘱を頂いたので、今は7年目になります。震災以降は活動は受け身の状態ですけどね。特に、私の担当の3丁目はうちがほとんど残ってないんですから。もちろん、役場から連絡あって、地域の方の相談を受けることもありますけど、特別自分から積極的にやったりっていうのはないです。

 今後どうなっていくんでしょうね。まだ町の組織自体がきちんと立て直しができてないし、役場関係も、社協もね。早くみんなに会えるような、体制づくりをしてほしいですね。

 

やっぱり「ここにいたい」

 今は、避難所に女房と2人でいます。7月30日に説明を受けて、条件が合えば仮設に移る予定です。場所は吉里吉里を第1希望にしていますけど、きっと第2希望の浪板になると思います。やっぱり、海がないと息苦しく感じるんですよね。だから、大槌の町の仮設よりはいいと思って、吉里吉里の次に浪板を希望したんです。浪板は、吉里吉里から歩いても行けますよ。2キロ、3キロくらいの距離です。

 震災前に住んでいた家はちょうど今年で築8年でした。建てた次の年に私のお袋がなくなって、子供が独立してからは私と妻と2人暮らしですね。今回の震災で、自宅の扱いは全壊になってますけども、建物自体は残ってるんですよ。1階の梁と、2階はほとんど無事だったんです。ほとんどのものは流したんですけど、寝室が2階だったんで衣類とかそういったものは残ってたんです。

 なので、家が浸水してても建物が残ってるんで、(規制の)網はかかっていないから、本当は今の家をね、直したいとは思ってんですけども。なにせ退職金全部はたいて建てたうちですから。ただ、直すのもお金がかかりますよね。今から借金して子供さ迷惑もかけたくないし。本当にどうすっかって。毎日悩んでる状態なんですけども。

 でも最終的には「吉里吉里にいたい」ってことなんです。それだけは何があっても、変わらない。できたら昔の状態がね、いい。前の生活に早く戻りたい。今の家を直したい。そのためにも国、というか町がね、しっかりして頂かないと。

 

ささやかに

 今後ですか?そう、本当にささやかな願いなんです。大好きなソフトボールを仲間とわいわいやる。そうして孫たちをこの美しい吉里吉里の海に迎えて泳いだり、駆け回ったり…。ささやかな夢ですけどね。そういう時が早く来ればいいなと思っています。それまでは頑張ります。まだ体が動きますからね、できることをやっていこうと思います。

 

【プロフィール】

話し手:近藤欣彌さん

電力関係で42年間、東北各地で働き定年を迎えたあとは吉里吉里に戻り、現在は民生委員と老人ホームの仕事にて吉里吉里に貢献中。また大槌町のソフトボールのシニアチームではピッチャーや外野として活躍中。

聞き手:中村会美子

会社員

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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