東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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震災で価値観が変わった

大槌のために役立ちたい

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  • 話し手: 田中明博さん
  • 聞き手: 大崎智子
  • 聞いた日: 2011年9月3日
  • 027/101
ページ:3

これから ―価値観が変わった「一人じゃ生きられない」

 将来はやっぱり家庭も持ちたいです。やっぱりそういう夢もありますね。今回津波でいちばん思ったのは、やっぱ人間一人ではダメだな、って。一人ぼっちはダメですよ。家族があれば生きれますよ、支えがあれば。それは人生観というか、価値観が変わったっていうことですね、津波で。今回の津波で、考えががらっと変わりました。どんな仕事も仕事には変わりない。いちばんは家族だって、そう思ったんですよ。家族っていうのは、これから自分が出会う家族ですよ。人間は一人じゃ生きていけない、誰かがいればがんばれる。人の考えはそれぞれですけど、俺はそう考えました。

 吉里吉里で生まれ育ってますから、ちっちゃいときは海で泳ぎましたよ。海にただ潜ってって、下の砂を掴んで来るんですよ、証拠として。でも、浮かんで来るときには、手に砂はもうないんですよ。あとは貝、ヒトデとか掴んで来るんです。魚釣りもやりました。海は好きでしたからね。でもここ数年は泳ぐ気にはなれなかった、仕事や将来のことで悩んでたりして。あんな何も考えないで遊んだ頃には、もう戻れないですよ。

 だけど今までと違うのは、どんな仕事でもしてやろう、って思ってますね。価値観は相当変わったと思います。今の仕事は被災地の図書館が復興したら終わりです。それは自分は承知の上なので。とにかく今は、生きれる限りは生きてみよう、やれる限りはやってやろう、って思ってます。今日だって、ご飯食べてるし、お水飲んでるし。もしそこで道が途切れたら、またなんでもやればいいかなって。それでね、一緒に生きてくれる人が見つかったら、それだけでも津波から生きた意味があるかな、って。そこに辿り着くためのこの数ヶ月間だったのかな、って思いますね。不思議ですね、何かがなければ気付かないのかもしれません、何が大事なのか。俺に、津波が教えてくれた。

 

【プロフィール】

話し手:田中明博さん

吉里吉里で生まれ育つ。大槌町の復興に役立ちたい一心で、7月から公益社団法人シャンティ国際ボランティア会岩手事務所に勤務し「いわてを走る移動図書館プロジェクト」に携わった。12月からは大槌町立図書館復興のための職に就き、邁進中。

聞き手:大崎智子

特定非営利活動法人共存の森ネットワーク インターン

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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