東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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サケ縄、養殖、カゴ漁

3艘の船で1年を通じて海に出る

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  • 話し手: 倉本修一さん
  • 聞き手: 吉原祥子
  • 聞いた日: 2011年9月23日
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 倉本修一(くらもとしゅういち)です。昭和43年生まれ。吉里吉里生まれの吉里吉里育ちです。きょうだいは、姉とね、妹がいるんだけども、妹は嫁いで大阪にいる。母親はだいぶ前に、もう今年の2月で27回忌だった。父親は2年前に津波見ねえで死んでるから。今、仮設に姉と2人でいる。

 10年ぐらい前まで外国航路に乗ってた。おもにペルシア湾とか、巨大タンカーに乗って。10年くらい前に、三陸で「爆弾低気圧」ってあって。津波じゃねえんだけども、低気圧の大しけでワカメの養殖施設がさ、全部流されたことがあったんだね。その時に、その船乗り辞めて地元に帰ってきて漁師始めました。また復旧っていうか、その時に、再度やり直すっていう作業から携わった経験がある。父親がもともとここで漁師してたんで、小さい時からその手伝いをいろいろやってたから、仕事の中身はわかってたったし。お祖父さんも漁師。

 漁業は大きく分けてさ、養殖漁業と漁船漁業に分かれて、養殖は俺は津波の前まではワカメとホヤの養殖。で、漁船漁業でサケの延縄(はえなわ)と、あとカゴ。それでタコとか獲るの。他に、漁協で発表してる解禁日になれば、ウニとかアワビ。

大小さまざまな船が並ぶ、震災前の吉里吉里漁港

 船はね、3トンちょっとの、マストとかいろいろ付いた漁船漁業用のちょっと大きめの船と、養殖用の漁船と、あと、ウニとかアワビを獲る小さい和船と3艘持ってる。ここらへんではさ、サケ漁とかに使う、12メーターくらいのちょっと大きめの船を「モーター」って言うんだよ。操船は基本1人。このへんのはさ、設備もよくて、操船っていったってリモコンなのさ。舵取るとか、前進後進っていったってコントローラー1つ。スイッチ切り替えで、船の艏(おもて)とかで仕事する時は自分でそれ持ってってやる。

 養殖用の平べったい船は船外機しかエンジンがついてないから、「船外機」って言うんだよ。で、小さい和船っていうのは笹船みてえだからさ、さっぱ船っていうの。船もつけねえで「さっぱ、さっぱ」って呼んでる。

 

3艘の船で1年中海に出る

 漁師の仕事は、1月からいえば、うちの場合は、まあ1月、2月、3月はカゴ漁。600メートルのロープに30個カゴがついてる。それを5本あちこちに入れて。カゴのときはサケ漁する船。寒い時期だと夜明けるのも遅いし、電気つけて行くんだけども、5時、6時頃から午前中かかる。タコはもちろん、魚でいえばアイナメ、カレイ、いろいろ獲れる。

 3月からはワカメの刈り取りなのさ、4月いっぱい。ワカメは船外機と、あと、うちでは去年からは人数乗せていっぱいで行くのに、モーターでも行く。岸から300メートルぐらいのところ。ワカメは延縄方式になっててさ、太えロープにごっそりつくのさ。このロープを棚っていうんだよ、養殖棚。この養殖棚1本が200メートルで、20メートル間隔でさ、ずっとあるの。うちでは15本。まあ、少ねえ人で6本から7本。200メートル1本に2トンぐれえなるのかな。それを刈っていく。それを海岸で煮て、塩して。それを陸上の作業場で、葉っぱとか茎とかに分けるわけ。それを脱水して箱詰めして出荷。

 で、5月からウニ獲るわけだ、さっぱで。8月のお盆まで、毎週2回揚がる。箱眼鏡で海底見ながら、たも網で獲るのさ。スラスターを使って、前進したり、旋回したりしながら。早え時は朝3時頃から。ウニは週2回だから、その間にカゴ漁もやるのさ。カゴを入れたままで。で、ウニのある日はウニ獲りに行く。ウニのない日はカゴを揚げに行く。ウニは朝7時までだからさ。で、7時までに帰ってきて、それからウニを殻から剥いて市場に出荷して。午後はカゴが壊れてれば、壊れたカゴの修理とかさ、ロープが古くなってきたらロープ取り替えるような準備したりとか。朝早いから昼の3時ぐれえでだいたい1日決まって。4時頃から近くの漁師さんたちも寄ったりすればさ、まあちょっと1時間ぐれえだべって。で、「帰っか」ってそれからね、5時には家に帰ってくる。

 そして、盆過ぎからね、船の手入れが始まるのさ。3隻ある船。ウニ漁も終わったしってなればペンキ塗ったりさ。あんまり寒くならないうちに。9月っていうのはさ、潮の流れがあんまり速くなくて、で、養殖のほうもさ、古い施設もあるわけだ。長年しけに耐えてきて残った、古い施設とかが。ワカメの養殖棚に入れてある土嚢袋がね、毎年毎年、ちょっとずつ破れたりして抜けてきたりもする。そういうのを交換したりする共同作業とかが、ここに入ってくる。もちろんカゴ漁も続いている。

 で、その間に、っていうか、まあ年中通してなんだけども、海とか納屋でやる作業ね。9月、10月にサケの延縄を集中して作るんだけども。夕方5時頃から一杯飲みしながら、サケの針を1日に2,000本も3,000本も結んだりするわけだよ。ただのまっさらなロープ1本にテグスの端をくぐして、その先にも針も自分で結んで作る。

 で、だんだんに11月からサケの延縄が始まるんだけども。そして、11月、12月はアワビ獲りもするわけだ。サケ縄をしながら、アワビ獲りもしながら、あと、カゴも入れてるのさ、何ぼか。サケの漁が続いてれば、12月の25とか27まで沖に出る。

 だから、1年ずっと何かかにか商売できるように繋ぐ。大晦日は、「まあ1年ご苦労さん」て船にお酒をやる。神様にお神酒あげるのと一緒でさ、船にはさ、コップで置かねえで、そのまま瓶から。大漁旗を竿に1本か2本飾ってさ。

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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