東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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サケ縄、養殖、カゴ漁

3艘の船で1年を通じて海に出る

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  • 話し手: 倉本修一さん
  • 聞き手: 吉原祥子
  • 聞いた日: 2011年9月23日
  • 036/101
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一番好きなのはサケの延縄漁

 こういう漁の技術は、身につけるっていうか、まあ小さい頃から父親とやってきているからそうなる。俺の中学校の頃まではGPSっていうのはねかった。だから2人いなきゃできねかった。舵取る人と、延縄上げる人と。俺、小学校午前中休んで行ってたと思うよ、親父と一緒に。サケ縄の時期は、朝から学校休んで沖から帰ってきたら、おふくろ、ランドセル持って岸壁さ迎えさ来る。それから学校に行くのさ。今はいねぇね、そんなの。

 漁の中で一番好きなのはサケ縄かな。このへんはさ、船が大槌からも出るし、吉里吉里からも出るし、船越の田の浜っていう港があって、そっちからも出てくるのさ。

 朝4時までは、延縄を投入しちゃ駄目っていうきまりなの。延縄は4キロまでって長さ制限があって、4キロ先に行くと、1列目に並べなった船が待ってるわけ。第2弾。で、さらにここにも間に合わねかった人は、もっと奥に3弾目もいるときもある。沿岸にレーダーとGPS見ながら、200メーターの等間隔にみんな並ぶのさ。

 最盛期になってくると、船が混んでくるからさ。だから朝4時から縄投入するのに、前の日の午後2時とか3時とかに行って並んでるわけだ。早い者勝ちだから。で、1人で乗ってるから寝られねえのさ、一晩中。まあただ待ってるわけでもねえんだ。スルメとかも釣れっからさ。周りの船も、みんな仲もいいしさ、ライバルにはライバルだけど。だから無線でいろんな話しながら。

 冬の朝4時っていったら真っ暗だ。投縄(とうなわ)のときは黄色の回転灯を回すのさ。それ一斉に回し始めてヨーイドンだもの。海岸線の形に船並んで。

 船の前側を艏って言って、後ろ側を、船偏に尾という漢字を書いて「とも」って言うのさ。それで、延縄を「とも」にセットしておいて、船が走っていくのにあわせてボンボンボンボン落としてくの。

 で、さらに予備の縄もいっぱい持っててさ。魚探見ながら魚群が映ってきたなと思ったら、「とも」の両方から縄を出せるようにしてる、いつも。俺の場合はね。魚探でもし一杯映ればさ、途中からでも「とも」の反対側からも打ってくわけ。縄1本に見えっけども、じつは2本打つのもあるわけさ。技としてね。そうすれば、隣りの船、500本しか針入ってねえんだけども、うちの船もう1,000本入ってるよっていう。

 さらに、探照灯っていう明るいサーチライトつけて戻ってきて、5回も6回も重ねて縄を入れる。潮の流れで隣りの船の延縄がどっか見えなくなってれば、また余分にも入れるし。延縄の端には旗竿だけつけて。長年の勘でさ、この潮だとどっち側に、だいたいどのへんまで流れていくっていうのは見てなくてもわかる。

 潮が悪くて隣の船と延縄がからまることもある。そうしたら早い者勝ち。獲れる実力のあるほうが獲っていくのさ。で、こっちが先に200匹獲れたから、100匹やっからって、半分ぐれぇに分けたりする。

 延縄も自分たちで作るんだもの。400メートルものをいっぱい作るのさ。長いロープにテグスで結んだ釣り糸が50本くらいついてるの。その400メートルのやつを1枚っていうのさ。俺はそれを200枚ぐれえ船に積んでるのさ。100枚持ってればさ、10回往復できるの。使わねえ時は、次の日使う。

 餌はね、かけてねえのもあるのさ。「それっ」て言えばさ、餌は1枚2?3分でかけるのさ。切ってった餌を持ってって、べつに餌だけやる。だから、20?30分で10枚ぐれえつけるわけだ。その30分のうちに先に入れた縄はどっかに流れてるのさ。いつまでもまっすぐじゃねえわけ。斜めになったりしてるわけ、どんどんどんどん。自分の縄、どこにあっかっていうのを常に確認してねえと、この作業ができねえのさ。だから、どこで実力の差つくかと言えば、ここの潮によって、自分の縄が今どういう状態になってっかっていうのを完璧に把握すること。そうしねえと、結局、人とくっついてしまって、また魚半分分けたりとかさ、いうことになるから。ここで実力っていうか、差がつくんだよ。だって1本でも多く入れた人が勝つんだもの、やっぱり。

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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