東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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思い出も流されたけど…やっぱり海

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  • 話し手: 田中和成さん
  • 聞き手: 簑原茜
  • 聞いた日: 2011年7月31日
  • 046/101
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復興に向けて

 これからどうなるんだかね、復興計画とか。大まかなのが決まんないと。俺も低いとことか住みたくないですもん。次うちとか建てるんだったらやっぱり上のほうですね。

 ここはうちは建てないほうがいいと思いますけどね。だって堤防とかあっても越えられることが分かったんだから。海浜公園とかのほうがいいと思います。海がメインですからね。流されてもいいような施設というか、運動場なり、海浜公園なり、箱ものは極力控えて。来ることが分かってますからね。内陸との格差が出ないように、道路の整備とかもね。

 養殖にしてもみんな高齢化になってるし、漁業の経営だって会社にしようかとかいってるけど、会社にして、サラリーマンっていうか、悪くないとは思いますけどね。高齢化はしてるけど、ホヤも韓国とかにも需要があるんですって。業者が養殖で採った生のホヤを買い付けに来てました。アワビは、東京とかのほうでは高級食材の、大船渡のほうの吉浜(きっぴん)アワビとか。商品付加価値つけてからね。機械とかも高いですからね。それで収益上がって、個人でやってるよりは負担が軽減されれば。低所得からある程度給料もらって安定するようになれば、若者も来るし。またそこに大企業が入ってくれば別なんですけど。

 

夢…

 元通りにはなんねえからな…なんだろうな。いつもどうなればいいのかって思いますけどね。大槌町も実際人が出て行ってるでしょう。職場がないから。人口1万6千で1,600人が死者・行方不明者なんで、1割、ですね。金銭的にもね、結構お金稼がない人たちもいるじゃないですか。貧困じゃないけどね、被災された人たちは船もないし、養殖のほうもね。そんな大きな工場来るわけでもないですし、魅力的な建物建てたからって、そんな人が来んのかどうかもわかんないですしね。高齢化もしてますし。若者が魅力ある町っていったってね。ただでも来なかったのに、被災してからね。夏は釣りとか海水浴とかでにぎわうんですけどね。どうなんですかね。他から来た人たちが、住みたいって思う街にすっかどうかですよね。なってほしいですけど、全部沿岸はね、被災してるから。

 夢? 夢って聞かれるとあれですよね(笑)。うーん。そういうのあんまりないんですよね。まず何にもなくなったから。みんな出て行ったりしたんで。やっぱ海じゃないですか。自然を生かすしかないですよね。景色もきれいですからね、水も透き通って。海を避けるんじゃなくて、海と共存するような…。

 

【プロフィール】

話し手:田中和成さん

吉里吉里生まれ、故郷を一度出るも、地元に戻り消防署員になって10年目。津波で家を流されたが、同じ人助けの道を歩まれる奥様と、仮設住宅での新しい生活をスタートされた。

聞き手:簑原茜

国連大学高等研究所SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ事務局 プログラムオフィサー

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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