東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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漁業の町で、お義母さんから学んだ暮らし

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  • 話し手: 太田シヂさん
  • 聞き手: 吉原祥子
  • 聞いた日: 2011年9月24日
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隣町から吉里吉里にお嫁に

 太田(おおた)シヂです。昭和18年生まれです。吉里吉里の隣の山田町という所があるんですよね。私はそこの織笠というところで生まれました。兄弟は7人で、私は5番目です。姉が3人で、その間に兄がいて、私と妹と弟です。父親は、町会議員など村のいろいろの役に携わっていました。

 小学生の頃までは、冬は、今のように電気こたつもないので、薪ストーブ焚いて。あんまり電気も思うようになくて、ランプで過ごしたこともあります。そういうほんとにね、素朴な生活をしてきました。私が中学校終わる頃は、もう電気がずっと点いていました。

 山田町で中学校を出たあと釜石に出て、2年間、洋裁と和裁の習いものをしました。釜石には汽車で通いました。その当時、映画も見ましたけど、授業を少しさぼってね。

 それからうちの手伝いなどもして、昭和42年にこっちにお嫁に来ました。旦那さんとは、汽車の中で偶然、友達が旦那の妹さんと仲良くなって、そのご縁で知り合いました。24歳のときです。最初会った時、ああ、この人だのかなあと。相手は私と9歳違いました。

 結婚式は吉里吉里の公民館でしましたよ。本当は、私の家では反対だったんですよ。旦那さんのお義母さんという人は、ここの吉里吉里保育園を立ち上げた人なんだって。私はそういうとこでは勤めができないって、反対されたの。

 結婚してすぐに娘と、そのあと息子が生まれました。今、息子は埼玉にいて、私は娘と暮らしています。

 私の旦那さんは大工だったんですよ。それで、結婚後すぐ横浜の保土ヶ谷区にね、仕事で半年ぐらいいましたかね。そしてそのあとずっと、ここの吉里吉里で過ごしました。旦那さんはときには釜石に働きに行って。あと、東京にいっぱい知り合いがあるので、そこさ自分で一人で仕事に行ったりして。私はお義母さんと、旦那さんの妹と、あと旦那さんのお祖母さんと、3世代一緒に生活しました。義理のお祖母さん、寝たきりだったんですよ。

 朝は、うちの義母さんは、保育園に勤めてだったから早かったの。お祖母さんの世話もしていくからね、んだね、5時過ぎと起きてたね。私も旦那さんの弁当作んなきゃないから、一緒に起きてましたね。旦那さんの妹も保育園に勤めてあったからね。

 

お義母さんから学んだ手料理

 うちね、お義母さんがね、料理ができる人だったから。お裁縫も上手、お料理も上手。私は教えられることはいっぱい。私が作ると「ああ、これは塩が足りない」とか、酢の物すれば「酢が足りない」とか、そういうのはほんとに勉強になりましたよ。私はその当時は嫁ですから、「嫌なとこさ来たな」と思ったけども、今になれば、ほんとにありがたいと思ってます。そういう勉強をうんとさせられたから。つくづく感ずるのね。

 お義母さんが作っていたのは、「こまこま汁」って、ちっちゃく野菜刻んだものと、先に豆腐を油で炒めたの。ニンジン、ゴボウ、それにさつま揚げ、コンニャク、そういうのを入れて。それを炒めて。そしてね、ある程度炊きあがったのさ、サツマイモ入れるんですよ。サツマイモはダイコンがある程度煮えた時に入れるんですよ。そうすれば甘みが出るんですよ。そういうのは教えられましたよ。お醤油と塩とお砂糖をちょっと入れて。ダシは入れないの。そしてね、それにササゲマメ。煮豆っていうのかな、アズキより大きい赤いの。それを味付けた段階で一番最後に入れるんですよ。それが美味しいのね。甘味が出ます。

 それから、お赤飯は、私はね、豆じゃなくて、やっぱり鶏肉とシイタケ、そしてニンジン、ゴボウ、それを炒めて、そして1回蒸したもち米さ入れて、混ぜて、もう1回蒸すんですよ。それには豆は入れないの。色はお醤油とお砂糖。あとちょっと酒とかを入れるとその色で。野菜の色もあるし。ちょっと味付けて。そういうお赤飯は、誰か来るっていえばそれを作って、ちょいちょい食べました。

 お魚料理だと、やっぱり煮付けたり、焼いたりね。でも、この頃は津波来たから獲れなくなったけどね。魚は豊富でしたよね。

 あと、うちの義母さん、豆腐の「おぼろ」っていうの好きだったね。おぼろっていうのは、ここでは必ずお盆には仏さんにお供えするんですよ。それは、やっぱりシイタケと、鰹節とか、そういうものでダシ取って。それに砂糖をちょっと入れるの。そしてお醤油と塩をして。あんまり色が付かないようにして。そして、カタクリをそのダシに入れて、それにおぼろ豆腐をしゃもじで、こう、すくって入れるの。最後に油揚げと、ダシをとったあとの干しシイタケを煮付けたのと、海苔を乗せて食べるんですよ。

 お正月はお煮しめですね。いろんな物入れてね。お雑煮は、うちの義母さんが、やっぱりダイコン、ニンジン、ゴボウ、それとシイタケ、それに鶏肉と煮干しと入れて、そうやって作ってました。お餅は切り餅です。そしてそのお餅にクルミを付けて食べるんですよ、ここは。すっかりすって粉々になったクルミに、ちょっと砂糖と、好みで私は醤油ちょっと入れて。お椀から餅だけを取って、クルミ付けて食べるの。

 クルミっていうのは美味しいのね。実家では、あんまりそういうのはなかったのね。こっちのお義母さんの旦那さんが北海道人だったんだって。それで、いいとこのお坊ちゃんで、そういうふうに育てられたんじゃないですか。それで、こうやってお義母さんが自分の旦那さんに食べさせたものを、私に引き継いだって言ってたの。

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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