東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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復興の中心になる今の子供に正しいケアを

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  • 話し手: 佐藤貞興さん
  • 聞き手: 佐藤万貴
  • 聞いた日: 2011年10月22日
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プロフィール

 昭和24年8月の27日生まれです。家族はね、今全員元気ですよ。お袋は喘息持ちなので、避難所から1週間で病院さ移すことにして、あとは皆、無事逃げまして。孫はね、7月の11日に生まれたの。北海道なの。そんで、津波で家流されたんで里帰りしようと思ってたんだけども、今日女房迎えに行かせて、一軒家借りたからこっちに来いということで。初孫なもんですから。迫町(はさまちょう)の佐沼に住んでる。兄弟は4人だよ。私が長男だから、あと下のが弟2人と妹1人だ。皆元気でやってますよ。妹の方もね、孫生まれていますね。で、うちのお袋は、曾孫が2人。うちが皆結婚遅いのでさ、「やっぱ曾孫だけは見たいもんな」って皆そう言うよ。孫はまだ首座んねえからさ、やっぱ抱いでも怖いんだ。カクンてこう首がいくから。やっぱ娘が抱くのと私が抱くの違うらしいの。分かるんだよな。すぐ泣くんだ。で、娘に戻す。

 

お休み中の佐藤新聞店

 仕事は今はなし。前は教員してて、定年後は新聞屋をやってたの。佐藤新聞店っていって、震災前までは南三陸町で1軒だから、3,500部扱ってて。96年やってたの。100年はやろうかなぁと思ってたんだけどさ、大震災で人口が減ったでしょ。5日ばり新聞を避難所に届けたんだけども、油切れたからやめて、で今仙台の本社に任せてんの。とってもできねぇんですよ。車を9台流されて、従業員もバラバラで、配達する方もいないのでね。

 朝2時起きして、家族で仕分けして運転手さん6人で配送して、あと配達に30人行って、8時に終わって、ごはん食べて、寝て、でまた午後から。夜は8時に寝る。その繰り返しの生活です。10年前に親父亡くなって、新聞店と教員の兼業はできねえから娘を呼んで、一応仕事をさせて。私は教員辞めた後は正式に新聞屋やってたんですよ。

 

大学での出会い、生物への道

 ここ志津川の生まれ、育ち。この辺から出たことがない。だから他のところはね、分かんないんだ。志津川小学校、志津川中学校で、高校はね、佐沼高校に行ったんですよ。大学も宮城教育大学です。

 大学では生物を専攻してた。宮城教育大学にいる先生が東北大の助教授だったんだ。有名な先生だけどね。その人につきたいと思ったんだ。遺伝学の先生ね。人間の体を変えられるってのがあったんだ。それを形質転換っていうんだ。ひょっとすっと、人間が生まれ変わるんじゃないのかって。それくらいインパクトがあったんだ。だから1年生の時にすぐ先生んとこ行ってさ、「先生、ゼミに混ぜてください」ってってそこに無理やり入ったの。1年後にさ、その先生が転勤したんだ。それで自分で生物学をやってたの。

 卒業論文では、ミミズの脳の働きを調べたの。生きたまま、ミミズの頭の白い環帯っていう部分の、頭っから3つめと4つめの節の間に脳があんのよ、そこをメスで生きたまんまぴっぴっと割いて、そっから脳を取って、脳がないミミズと脳があるミミズで実験して、脳の働きはどうなってんのか調べた。

 

大学院で細胞授業プログラムの研究

 その後ね、大学院では細胞の授業プログラムってあって、細胞だけじゃなくて、動物が生きるということはどういうことか、植物が生きてるってことはどういうことか、ものはどういうふうに吸収されてそれがどのようにして体を作っていくのかとか、それを最小単位の細胞レベルで考えていこうと、そういう授業内容を考えて修士論文書いたんだ。

 細胞論って楽しいんだよー。この宇宙も生き物だから、一番ちっちゃい単位で考えようというのが、私の細胞の授業なんですよ。細胞だけを教えると面白くないわけよ。何なの構造って、受験用だけかってなっちゃう。そうではないんだよって。これが基本なんだよ、そしてこれが集まっとどうなるかとか、集まった後どうなる。で、1回集まったもんがまた分散すんだよ、またくっつくんだよってっと、何で、どうしてってなんでしょ。そうすると、細胞1個1個が何なんだろうねってなるんだ。

 それが細胞に惹きつける動機づけなんだ。そういうの深くやって、楽しい授業にしていかないと、理科を嫌いな方々がいっぱい増えてくんだ。やでしょ、計算をしたりさ、化学式覚えたりさ、星の名前覚えたり。つまんないんだ。理科って本来は、ああいうんじゃないんですよ。神秘を解明する道具だから。そのなぜかっていうことがないと、授業やる方も受ける方もつまんないんだ。そんな授業で給料もらってんの申し訳ない。「あー、先生もう終わったの」ってなるくらいの授業をしないと。私はずっと思ってたの。だから大学院に行って、もう少し突っ込んでやればいいのかな、なんて思ったの。

 



■ 宮城県南三陸町志津川

宮城県南三陸町
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