東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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つながりが多いのが吉里吉里

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  • 話し手: 平原慶子さん
  • 聞き手: 多胡潤哉
  • 聞いた日: 2011年9月23日
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おちゃっ子飲みが楽しくて

 おちゃっ子飲みってこちらの方言は言うの。お茶飲み。やっぱり楽しみですよ。おちゃっ子会って、お友達も遊びに来たりするから。お茶飲み、飲みたい、おちゃっ子って言うんです。いろいろ話したり、話を聞かされたり。また若い人たちとお話してね。やっぱりお年寄りの話を聞いて今までわかんなかった事もわかりますね。吉里吉里生まれの先輩、名前は知ってたったっけど地震の前までは話はしたことなかったの。話が豊富で、やっぱり先輩です。吉里吉里の言葉で「そうだべ」って、こう言えばこうだべって、それでこうなんだよってちゃんとまじめなこと言うし、そうだよねえって私、関心する。だから私なんでも相談するの。ほんとにみなさんのおかげで助かったね。なんぼ吉里吉里に69年住んでいても、全然わからないことも初めて知ることもあります。そういう新しく知ることがあるとまた楽しいね。だからね、あの最初のうちは、精神的にも被害者妄想あったけども、だんだんこうしていれば人間関係が新しくまた出てきて、新たにつながって。それがね、今だんだんわかってきた。時間、日が経つにつれて。最初のうちはもう津波の流されたことだけ頭にあって、悔しさ。でも、津波に遭っていいこともあるよねえってとも、思ったりもしています。流された家に帰ってきて、向かいのばあちゃんと話をしてるうちに、「慶ちゃん、ここにうち建ててって、おちゃっ子飲んべえしー」ってばあちゃんが。みんなやっぱり元のところに建てたいねって言ってます。またね、おちゃっ子飲んだりすったしねえって。やっぱり一人じゃない、つながりだものね。そう思いました。

 

今思う事?父の言葉と一緒に?

 でもたまにはね、夜中に目が覚めた時、ふと思い出します。やだあーって溜息がでたりします。でも、私一人じゃないから、みんながそおいう思いをしてるからね。それだけでも救われるけど、でもやっぱり個人の感想になっちゃってきてね。あれもあったったのにこれもあったったのに今はないでしょ。全て、1からのやり直しと同じく、ゼロからの、1よりゼロからだもんね。裸一貫。でも、もう一度、出来るものなら、あそこに住みたいなと思います。そう、やっぱり浜育ちね。ちょっと海より遠いから、だめかもわかんないけど。あそこにちっちゃなうちでも欲しいねって言ってるね。これからは、あんまり津波の損したとかっていうのは、もういつまでも引きずらないで、前向きに生きないとだめだもんね。希望を持って。いつも父に言われた。「人はこころの持ち方で自分を良くもしたり悪くもしたりする」って。いろいろことわざを聞かされ、自分の気持ちの持ち次第だって。だからね、前向きに行かなきゃ。

 また役場の食生活改善推進委員に入ろかなと思ってる。やっぱりお友達いっぱい作らないとね。商売ももうこの機会にどうかなっと思ってたけども、さっそくやめることもないしね。将来どうなるかわからないから、まだやめることはしてない。休んではいるけどお米もね、オートバイ乗って10キロぐらいは配達したの。まだ出来なくなったわけじゃない。

 

【プロフィール】

話し手:平原慶子さん

吉里吉里生まれ。親の代からの米屋を営み、役場主催の食生活改善推進委員を務めるなど、吉里吉里の食を守り続けている。お話が大好きな浜育ちのおちゃっ子。

聞き手:多胡潤哉

龍谷大学大学院理工学研究科環境ソリューション工学専攻修士課程2年

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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