東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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地域のみんなにお世話になった恩返しをしなくっちゃ

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  • 話し手: 千田勝治さん
  • 聞き手: 七井舞
  • 聞いた日: 2011年12月10日
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浜のばぁちゃんはトップクラスの働き者

 家内と出会ったのは仙台ですね。仙台に居た時は彼女もいないし、当時はボウリングがすごく流行っていた時代で、給料の半分はボウリングに行ってた時代。

 うちの家内とは、彼女が勤めていた美容院のビル内ですれ違ったのが最初の出会いだったね。美容院とうちの会社は近くだったから。会社で借りてる寮があって、キッチンに立ってて窓から見える道路を、ある時、家内が歩いてたの。家内の実家は寮の後ろにあったわけさ。美容院に行くのに家から歩いて行くのを見て、その時綺麗な人だなぁと思って、初めて女性にアタックしたね。でも当時は携帯電話もなかったから、お店に電話をして、「この前ビルの中ですれ違ったものですけど会っていただけませんか?」って電話したら、仕事が終わってから会おうということになったわけね。

 うちの家内は今体格良くなったけどね、当時はほんっとスラーっとしてたの。それで美容師さんだったからね、当時は髪を染めていたんだけど、地元にはほとんど髪を染めてる人はいなかったから、金髪に近い髪の色をしていた家内を実家に連れてきたときはびっくりされたね。美容師だったから当時では派手な格好もしてたしね。もともとは海で働くような人ではなかったのね。

 彼女の実家っていうのはお父さんが宮城県警の警察官で現職だったので、農業も漁業もしたことのなかったの。だから向こうのお母さんには、「うちの娘は箸より重たいものを持ったことのない人だけどよろしくお願いします」と言われたの。それで、農業も漁業もやったことのない人だから、美容師はやらせてくれっていうのが唯一の条件だったの。美容師は、陸前高田に来て結婚してから15年くらいは続けてたかな。私の方の漁業の規模が大きくなって、雇い人と私だけでは仕事が終わらないことが多くなったから、家内は店を閉めて、海の仕事を手伝ってくれるようになったのね。それで今は「浜のばぁちゃん」として働いてます。

 美容院を辞めて漁業を手伝うことになった時に、家内は何も文句は言わなかったね、私の日々の忙しい姿を見てたし。いろんな役を持っていて家の仕事を放っぽり投げて出ていかないといけなかったから。美容師さんは器用なんだね。テキパキやるし動きが速いし、その動きが身についてるから、元々は漁業をやるお方じゃなかったんだけれども、今ではこの湾でもトップクラスの働きもんですよ。

 私の手は海の仕事をしていないような手になってんの。ペロペロしててさ。それだけ公務に従事してるってわけでさ。だから海の仕事をすると「あぁ、海の仕事はいいなぁー」って思うよ。空気がいい所でさ。まぁ寒い日もあるけれども、海の仕事をやるっていうのは一番いいね。早く戻りたい。今はもう穏やかな海に戻ったしね。

 

【プロフィール】

話し手:千田勝治さん

高校を卒業後、仙台で会社員として働く。その後家業を継ぎ、カキの養殖業に携わる。会社員時代の経営理論を養殖業に活かし、現在は県内一の生産量を誇る。消防団での活動経験など地域の繋がりも深く、漁業の傍ら市議会議員を務めている。

聞き手:七井舞

玉川大学リベラルアーツ学部リベラルアーツ学科4年

 



■ 岩手県陸前高田市田束地区

宮城県南三陸町
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