東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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やっぱ、吉里吉里が一番いい

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  • 話し手: 川原弘平さん
  • 聞き手: 牛田貴規
  • 聞いた日: 2011年07月09日
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被災者の影―俺は教えっども―

 最初、避難所の小学校にいた時は二百数十人いたっけ。長くなってくればいろいろと悩む事もあるけれど、皆知ってるし、皆親戚みたいなもんだから、全然間仕切りをしなかった。よその地域では、いろんなところから人が来るから、必ず間仕切りすんだけども、吉里吉里には要らない。

 避難所にいる人は、情報がいっぱい入ってくるからいいの。うちらみたいに、忙しい忙しいって商店にいればね、何の情報も入ってこない。配給も何もない。だから、着替えのシャツがなくて、避難所に行ってシャツ2枚もらったの。

 家が流されない人で、配給を全部もらった人がいだったの。そうしたところが、シャツだの何でも貰って、全部だよ。家さ流されない人が、3回も4回も通って、小さい服も全部持っていくんだよ。それで、小さい服が入んなかったら、捨てるってんだよ。なんでそうやって。だから俺は、何回も言うんだっとも、昭和8年の津波ん時、毛布がなかったわけだ。そこで、軍隊が毛布を持ってきたんだって。だれば、津波に遭わなかった人が毛布をもらいにきたんだども。津波の被害を受けなかった人は、「下がってくんな」って言われたども。

 だけど今ね、ここの地区でもそうだども、被害に遭わない人が一番もらってる。遠野へ行って、米30kgもらったり。だって、被害に遭った人らは、車もなければ遠くに行けないのだもの。

 俺は教えっども、普段、親戚にでも誰にでも、良い事をしない人は、何かあったとき助けてもらえないの。だから、人に良い事をやってれば、避難所にいなくても良いの。

 

やっぱ、ここが一番いい

 逆境にあっても、怒ったりしても仕方がない。これも、自分だけでなく、皆だからね。家がなくなったからって、悲しいことでねえし。皆同じ立場だから、これから何をするかって事も、そんな事考えていられない。こうなってしまえばさ、皆、同じだと思えば、悲しいっつう事もない。

 やっぱ地元の方がいいだっぺか。やっぱ海ある所は海の方が良いよ。やっぱ海のない生活っていうのは、考えられないってこった。やっぱ浜に行ったり、山に行ったり。やっぱ、ここが一番いい。

 

【プロフィール】

話し手:川原弘平さん

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里地区で生まれ、水産学校を卒業後、東京都の築地で7年間働く。その後、地元吉里吉里へ戻り現在の川原商店を継ぐ。吉里吉里地区のホームセンターとして愛されてきた。

聞き手:牛田貴規

会社員

 



■ 岩手県大槌町吉里吉里

岩手県上閉伊郡大槌町吉里吉里
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