東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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雄勝に育まれて

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  • 話し手: 柴田憲一さん
  • 聞き手: 葛西陽介
  • 聞いた日: 2011年12月5日
  • 073/101
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山での仕事・昔と今

 中学校終わって、家の仕事しながら、雄勝町有財産維持会ってあって、そごに入って山さ泊りがけで、下刈りやったり。1年ちょっとやったのがなあ。そごさ入って。そごは雄勝の財産の山。共有地。んで、途中で6月頃に国有林の苗畑ってどこさ入ったのさ。向かいのおじさんが苗畑主任やってたのさ。そんでその人に言われて。急に今まで働いでだ人が何が面白ぐねがったのが辞めるって言い出して、男いなぐなったのさ。そんで俺さ白羽の矢が立って、来ねがって。そんで良いよって。苗畑には中学校卒業して1年半くれえで。16、7くらい。苗畑は苗を育てるための周りの除草、草刈とが。種からやってだんだ、最初は。でも、向かいのおじさんが辞めでがらは種からやる人がいなぐなって。ポット苗とかそういうの始めたのさ。苗畑は昭和44年から昭和52年くらいまで。

 それで、今は石巻になってけど、旧牡鹿町の鮎川ってとごさ行ったのさ。鮎川では山仕事なった。木伐ったり。鮎川に7年半いでそのあと河北町ってとごさ行った。行ってるうちに職場の統廃合があって石巻に勤務になった。今は、昔みたいに木を出したりしないがら。測定っていって境界線の調査とか。あとは除伐する箇所の調査がな。収穫って言うんだけど。そういうのが主だな。石巻は最初から測定って仕事がメインだがら。統廃合してがら、とにかく国有林の境界分がんなければ将来的にどうなるが分がんねがらって。今だってそういう状態になってきてっちゃ。現職が誰もいなぐなったら境界も分がねぐなっちゃ。やっぱ境界ははっきりしておがねえば駄目だっつうごどでその時点で、石巻はあまり下刈りとがそういうのやんねがったの。震災の後、仕事はしばらく待機だったな。だって、行げねんだもん。油もないし。しばらく待機してで良いがらって。半月以上待機してだな。今は通常っつが、ぼちぼちだな。ちょこちょこ仕事してだ。直接山さ行がないで、雑用みだいなさ。そんな感じだな。

 来年の3月で退職。希望として仕事は続けるかな。まだ聞がれでないけど。臨時で。こごにいだって何も仕事ないがらさ。

 

震災当日の様子―言葉も出ねがった。もちろん涙も出ねえし―

 びゃーっと水さ、道路がら5m以上上がったな。道路の両方さ。噴水みたいにさ、道路脇ずっとだど。道路沿いに堀みたいなのあってそれが吹いたのさ。押されて上がったのかなって感覚だな。もう車で走らいねがら、そのまま止まってででさ。何秒がもうちょっと行ってで橋の上で止まるようだったら、橋の両側落ちだんだがら。渡らいねぐなんだもの。でもその手前だったがら。

 俺、ラジオかげでだけど、俺の感覚では地震の速報来る前に揺れだがら。で、橋ドンっと落ちでだがら回り道して帰って来ようとしたのさ。でも、その日は帰って来れなかったの。河北町で足止め食ってあそこから先、進めねがったがら。あど、部落の人たちの公民館さ一晩泊まったのさ。そごで、炊き出ししてもらってオニギリご馳走なって、コーヒーご馳走なって、ストーブ炊いでもらって暖かいどごで、テレビ見せらいで。そいづで、名取だの気仙沼の様子を何回も同じの繰り返しでだ、津波の。あれ見で、ああ、かなり雄勝もやらいだなってその時思ったんだけどもさ。そんで次の日、峠越えで帰ってきた。人乗せで。たまたま一緒になったがら。俺の車さのってさ。

 行ったら自衛隊いで、峠のてっぺんの方さ雪あったんだっちゃ。20cmくらい。そごで自衛隊もストップさ。でも自衛隊はチェーンかげで上っていったのさ。だがらその後、俺追っかげでいって。結構道路も壊れでんだよ。今は通行止めなってる。んで、帰って来てまず家さ寄ってみんな無事なのを見でがら、集落の最後、海よりの方さ見に行ったのさ。あそこまでいったら、あど車行げねっちゃ。瓦礫の山で。見だ時はこう口開いだまま、なんだこいづって。言葉も出ねがった。もちろん涙も出ねえし。なんでこうなったんだいってしか思えねがったな。バスも見できた。公民会の上さ乗ってるの。結構ネットでも流れだんだ。あれは下ろさないで、そのまま残すんだ。津波がここまでこう、こういう状態だったってことを知らせるために残すようなごといってるけど、詳しくはわがんね。

 

これから―浜の人たちは一所懸命だ―

 本当はさ、もし津波来ながったら、定年退職して妹がホタテやってるから、そっちさ手伝いさも行げるなあって思ってだっけ、工場も何も全部流されだがらさ。何もねえがらさ。妹達はやるがやらねえが分がんねえけど、今年もうホタテの稚貝入れでっから。来年からはホタテいぐらが取れるんでねえがなって。浜の人たちは一所懸命だ、とにかく。海でやっぱ生活立でねげねっつうこどでさ。だがら、海の仕事やる人達は雄勝さ戻ってくっけども、それ以外の人達ははっきり言って分がんねな。

 

【プロフィール】

話し手:柴田憲一さん

小さい頃から山で遊び、中学卒業後に林野庁の事業である苗畑事業に従事する。苗畑廃止後は国有林の管理経営に携わる基幹作業職員として働き、森林管理署の統廃合に伴い石巻森林事務所にて勤務、現在に至る。

聞き手:葛西陽介

公務員・森の聞き書き甲子園1期生

 



■ 宮城県石巻市

宮城県石巻
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