東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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海と波の音と共に陸前高田で暮らした日々

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  • 話し手: 佐藤カヨ子さん
  • 聞き手: 浅野奈緒子
  • 聞いた日: 2011年12月11日
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正月やお盆は大御馳走

 元旦にお盆には海苔巻き、お稲荷さん、そして、おふかし。今はお店で買えるけど、うちで作るんだよ。昔は正月にお餅つきしたの。今のもんは機械だけど、私もついたの。お餅はクルミ、ゴマ、あんこ。クルミは落ちてるから、いっぱいある。ネズミ・鳥が落としたやつを採ってくるの。昔はお盆にも食べたよ。季節になると、食べものがあってね。自分で昔はゆべし、がんづき作ったの。ゆべしは粉で練って、味も色々やって、みんなやるんだよ。羊羹にするので、まずはテン草を寒天にするの。海に生えてる草を洗ってね、干して。水でしいて煮つめて、回して、その煮汁を入れると、固まってくるの。何も入れないようにしてね。浜の草もすごいね。今でも作り方は分かるよ。今のもんは分からないね。私も歳とってからはもうやらないの。みんないないし、1人で食べてもつまらないもんね。だから今は買ってくるの。

 

東京からみんなが来るかなぁ

 毎年、盆・正月は家族が来てたの。今年は電車もないしさ。陸前高田までバス通るって言ってたけどね。モビリアの電話番号も教えてあげたの。正月も来るって言ってたから、楽しみだけど、雪が降ったら来ないんだって。冬は雪が降るからね。みんな雪の中、歩いたことないからさ。駐車場もなくて車も置く場所もないね。みなが来るかな。来てほしいな。みんな帰ってくるといいな、と思ってるの。

 

これからは

 息子の東京さ、行こうと思ったの。そしたらみんな、行ぐな、行ぐな、って言うから、行くの諦めたの。「行くときは一緒だから」、って抑えられて、負けてしまったの。みんなと一緒にいたかったけど寂しいの。私は浜ばっかりで育ってたの。昔の夏の浜は、みんなで賑やかだったもん。海の音を聞かないと落ち着かない。海ばっかりだったから、上に上がってみると安心するよ。でも夜になると、やっぱり寂しいし、色んなこと考えるの。お隣のおじいさんも息子亡くしてるから、お隣も寂しかったべ。私も寂しかったですよって。私よりも若いもんだったしさ。夜いっぱい泣いたの。おばあちゃんになって骨と皮ばっかりで、目も緑内障だし。寂しくて夜寝れないから、痩せたの。薬も強くしたら、目が重たいの。散歩程度ならいいけど痩せてしまうから、先生にもあんまり歩くなって言われたの。

 だけど、もう東京に行くのは諦めたの。自分の知らない人ばっかりで寂しいの。行く時は一緒なの。1人で仮設に住むのは寂しい。でも、人が近くにいるから怖くなかったからいい。お友達もいるし、みんなでお茶っこしてね。天気がいい日にみんなで今やるの。あれは楽しいもん。

 

【プロフィール】

話し手:佐藤カヨ子さん

浜の近くに18歳で嫁ぎ、それからは海と共に生活を送る。家事に子育てに畑に田んぼに漁業にたくさんの仕事をこなした。漁をしていたこともあり、魚料理に詳しい。

聞き手:浅野奈緒子

玉川大学文学部比較文化学科4年

 



■ 岩手県陸前高田市田束地区

宮城県南三陸町
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