東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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震災での辛さと、色んな人に対する感謝の気持ち

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  • 話し手: 千田ユリ子さん
  • 聞き手: 中井咲耶
  • 聞いた日: 2011年12月11日
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自己紹介

 名前は千田ユリ子(ちだゆりこ)。生年月日は昭和15年7月8日。現在71だ。出身地はね、陸前高田市小友町(おともちょう)なんですよ。家族構成は、息子とお嫁さんと孫3人の6人家族です。

 

浜での仕事

 もう、8年、10年浜やって、卒業だ。朝も起きるの早いから。2時に起きてって、小屋さ行って、ストーブ火点けて、船さエンジンかけて沖さ行くってば。んでもう4時になるんだ。痛ましい手なのよ、カキむいた手だから。この津波来ねばねえ、もっともっと浜行かったのに。腰曲げて、船さ乗っかって、昆布狩りに行くんだよ。ワカメからカキから。ワカメ終わって、一番最後に、昆布あんの。4月の末から5月にかけて。そしてその前には、2月末から、ワカメ。1カ月から40日ぐらいだな。それで生活してたの。それにこんな津波、来るものね。もう、顔も身も白くなって、目見えなくなるようだった。何で生活してたらいいって。

 

孫のバレーの大会に行くのが楽しみ

 小学6年生の孫は、小学3年生からバレーさ入れて。土、日曜日が、バレーの大会があるから。私ぼっかげてって(追いかけて行って)、応援に歩いています。それが今度の、12月の18日で、6年生のボールの納めだと。この間新聞だのテレビさ出たが、うちではほら、キャプテンだから。ぼちぼちさ行って来ました。ばあちゃんは何処さも行けねえから、ぼっかげて応援して、親子で。それ一番の楽しみになったねえ。あと中学校さ行けば、中学校もバレーやるっつうから。バレーが好きだねえ。バレーもやるべし、勉強もやるべし。「成績も、上の方さ上れよ。」って俺言ってんの。バレーさ入ったからって、勉強が下がってもいけねえから。

 

震災後―船は流されたけど、家は残った

 俺のうちは高い所にあるで、この頃(最近)建てたから、震災が起きても、残って。柱だの、土台が、基礎がしっかりしてっから、丈夫なうちで、残ったの。家の中の物は全部流されたけんども。

 船は2艘流されたの。工場(小屋)も2棟流された、作業する工場と養殖の工場が。私、浜やってたから。11月の14日から、ワカメ始めるために。ほんで、ワカメ煮る釜から、タンクから、全部出してたとこさ、地震来たの。そして、俺の孫3人と、高いとこさ避難したの。

 田んぼも駄目。そして、防波堤が壊れたから、塩水が来るの。もう、1日1回ぐらいが満潮になっから、海みたいになるのよ。逆流してくっから。んだからそこを、防波堤早く作ってもらえば、田んぼも何も水入んないでしょ。んだからそこを、市長考えてくんねえかなあって言ってんの。

 

津波で失った飼い犬、ミリ

 津波が来た時、留守番の犬、引っ掛けておいたの。そいつがね、鎖引っ掛けといた状態で、忘れたのよ。8年もなる犬。もう、間に合わなかったんよ、私は真っすぐに高いとこさ行ったから。大きな、大きな犬。宝の犬。それで孫は、「ばあちゃん、犬見ない方がいいよ。犬にうなされっから」って。私が育てた犬だから。んだけども、3日目にうちさ、下がって行ったの。そしたけん、鎖のまま、小屋のとこから出張って、グッデーンと波に揺られてたの。波に揺られたから、犬の毛が。ほんで、犬の名前がミリっつうんだから。孫が付けた名前。「ミリー、ごめんなさいなあ。ばあちゃんが鎖外すの忘れた…」って。

 留守番の犬だから、利口なのよ。普通の犬と違うからね。私達が朝暗いうちに出張って、夜暗くなってから浜から帰って来る。だから、犬は留守番なの。そしてその犬が、夜来ると、来たか、来たかって首長くして鳴くんでがんすよ。犬も跳び付いて来たの、喜んで。だから今回は、浜も辞めたし、田んぼも作られねえから、「犬引っ張って、散歩で歩け」って、息子は語ってんの。でも、犬飼う無駄な金も無いし、どっからか犬来ねえかなって、思ってんの。ほんで、やっぱ私、犬の方がいいのよ。犬が力になって、散歩に歩くから。

 



■ 岩手県陸前高田市田束地区

宮城県南三陸町
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