東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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郷土芸能は部落の財産

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  • 話し手: 千田信男さん
  • 聞き手: 秋山真衣
  • 聞いた日: 2011年12月10日
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青年会でどんちゃん騒ぎ

 今はあんまり騒がないけど、大騒ぎしたこともあるんだけど。昔はほら、カラオケの機械を買ったの。機械だってあったんだよ。今は売ってないけど、あったの。みんなで出しあって買った。公民館に置いて、それを引っ張り出してどんちゃん騒ぎ(笑)。もう今壊れてしまったから、20年以上も前の話でしょ。町内にもあるところも多分あると思うよ。歌は好きなほうだからね。踊りは昔青年会で踊ったんだけど。青年会って演芸会。若い人たちもいっぱい、それこそ団塊の世代だから。各町内じゃほら、演芸会が青年会が主体であったから。私たち各町内30人くらいずつ会員がいたんじゃないかな。その中で練習したり自分たちで舞台の装置を作ったり。みんなで作った。バックから何から全部。物は自分たちで会費だとか出しあってね。踊りだとか劇だとかバンドだとか。私高校生の頃ブラスバンドやってたから。トランペットやってたんだけど。だからあの、津波、波はかぶらなかったんだけど、2階に置いたから。もう家内は投げるっていうんだけど、いや置いとけって。吹かないんだけど、ありますよ。だからねぇ、歯が弱くなっちゃって。マウスピース。多分そのせいで前歯が弱くなったんだろうな、3年間だけだけど。あと学校卒業してから、バンドを組んでたんだけど。7、8人くらいかな、なんだりかんだりやったねぇ。年老いた時やろうかって言ったんだけど、なかなか揃わなかったからね。

 

剣舞と虎舞―部落の財産―

 会長の期間は決まってはない。年をとったら辞めるっていう身を引くようなかっこうだけどね。副会長はいることはいるんだけど。だからまぁ、今年も踊ってくれないかっちゅうことも言われてたんだけど、なんせ2人亡くなって、今回。その気になれるみんなの元気がねぇ。続けることは続けるんですけどね。ショックはショックでして。道具は揃えてるから。だいたい人数分くらいは揃ってるはず。もううちのほうでも全部大人の分と子供の分は揃えてますけど。300万くらいかかったのかなぁ。まず鎧が主体なんだけどねぇ。だいたい大人1人さ、10万くらいずつかかってる。大人は8人だけど、踊る人数が、これ決まってますけども。それと太鼓が最低でも4人。笛が最低でも4人。その分の衣装全部だし。それさあと子供たち。子供たちも人数30人近くいたから。最低でも25、6はあるはず。だからそれで300万くらいはかかったはずです。今はプラスチックを縫いつけて。北上の鬼剣舞の衣装作ってるとこに頼んで、作ってる。みんながわかってるから、ここの部落の人たちもね。最初はびっくりしてたけど。部落の財産だから。だってもう、作ってかれこれ20年くらい経つけど、まだ大丈夫。

 あとは剣舞の他に、虎舞。この辺じゃあ虎舞っていうんだけど。虎舞って言えば釜石が。釜石の虎ともうちの方で踊ってる虎は違うんでね。頭が違う。虎舞は虎なんだけど、町内にもその虎の頭で踊るのが町内会が2つあるんだよね。あとは権現様っていうんだけど。虎舞は3人で踊る。この町内には11部落くらいあるんだけど、全部ある。それだからみんなひっくるめて虎舞。権現様っていう人もあるけど、みんな大概は虎舞っていう。だからうちの方の部落にもある。剣舞はグループで輪になって踊るんだけど、虎舞は3人一緒になって同じ動きを踊る。

 

世代を越えたつながり

 終わった後に飲み会があるから、それもまた面白い。話もはずむから。遠慮なく年下も年上も話をするから。若い人たちが一緒になって飲んだり食ったりするのが最高。若い頃俺たちもそうしてきたから。小学生も中学生の子供たちも、あっちでも分かってるし、俺も町内全部は分からないけど、部落の中の子供たちはだいたい分かるから。声かけあったり。小学校にも中学校にも行って教えたりするから、学校の先生たちも分かるし。だから昔、学校で剣舞で踊った人が学校の先生だったり。教えた子が先生になった。

 なかなか子供たちと接する機会がないから、だから剣舞通じて一緒になって話ができるからね。子供たちがいればやっぱ子供たちから元気もらうもんね。ここにはそういうのがあるから、幸いだね。

 

【プロフィール】

話し手:千田信男さん

昭和24年生まれ。高校を卒業してJA農協で働く。退職後も臨時で働いている。郷土芸能である「剣舞」の会長を務め、小中学生に教えたり、お祭りやイベントに参加したり、部落の財産を守るために尽力している。

聞き手:秋山真衣

玉川大学文学部比較文化学科3年

 



■ 岩手県陸前高田市田束地区

宮城県南三陸町
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