東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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前を向く、それを支えていく

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  • 話し手: 佐々木眞さん
  • 聞き手: 猪股明希
  • 聞いた日: 2011年12月11日
  • 082/101
ページ:3

前を向く人達

 実際はまだこれからですが、コミュニティを改善しなきゃだめだと思うんで、サポートしていこうと思ってます。だいたいみなさんお盆過ぎにこちらに入ってきたからまだ3、4ヶ月なんでね。いろんな行事をして人を出し合って、コミュニケーションをとれるような行事を入れてきたいなという話はしてるんです。大きいところだと人間関係が薄いって言いますし、ここでも一戸建てでいろんなとこから入ってる人達がいますから難しいです。でも沿岸部っていうのはパワフルな人達が多いから。ここで漁師の妻してるような奥さま方みたいに、口はちょっと悪いようだけど、気が全然悪くない。それが浜の人間の、そしてこの地域の特性なのでね。

 本当にここはいろんな地域から入ったので、今回の聞き書きとかも、今回は田束地区だけど、それだけじゃなくて今後もしそういうのが発展して、仮設の人たちのコミュニケーションづくりの協力もしてもらえたらなと思うんですよ。いろんな意味でね。相手次第ではありますけど、ちょっとした元気を引き出してくれる要因には絶対なるんで。今まではね、マスコミの人とか話すのは苦手とかありましたけど、そういう点、こっちの人間がしゃべれるようにはなってきたのかな。大きく言えばグローバル化、内向的よりは外交的になったのかなと思います。今後のことについては、これからだし、いつまでも後ろ向きでいても仕方ないと思う。ここのNPOのみなさんもそうですし、いろいろ中越からもサポートもしてもらいながら、前を向くのは早かった方だと思うんですよ。

 でもかえって、現場じゃない人の方が精神的にはきつかったってやつもあるみたいだね。こっちの当人達はもうね、現実を見てるんでどうにかしなきゃいけないっていうか、自分たちでなんかしなきゃいけないって思うけど、何も情報がなくて、待っているのはね。この地域でも、東京から息子さんが3日かけて自転車で来たとかあったんですよ。その子のお母さんは亡くなっちゃったんですが。でもその時その情報は彼には行ってないと思うんですよ。うちらはそこのお母さんここに来ないから捜索しなきゃねっていう話はしてたんですけど、その息子さんは状況は分かんないままで、でも心配になって自転車で来たと思うのね。居ても立ってもいられないっていうか精神的に本当にきつかったと思う。

 うちの実家の千田家の方で亡くなった人はいないけど、家のかみさんのお姉さんがだめだったんですよ。でもね、かみさんの方も前を向いてるんで。今回は急に離れ離れになって、亡くなったことでかなりブルーになってた人達もいますけど、でも前を向く人も多いんじゃないかなと思うんですよ。俺も5月、6月ぐらいまで遺体の捜索とかいろんなことしましたけど、その中でもね、前を向いていなきゃいけないし、残された意味があるんだろうなと思うんでね。

 こういういろんな記録を残していってもらえればいいんじゃないかな。データ化の時代ですし、残すってのは大事ですからね。

 

【プロフィール】

話し手:佐々木眞さん

昭和50年12月13日生まれ。漁業で牡蠣の養殖をしながらNPOの代表理事としても活躍。現在は漁業では牡蠣のいかだづくりを、NPOにおいては仮設住宅の立つモビリアにてコミュニティづくりに取り組まれている。

聞き手:猪股明希

玉川大学文学部比較文化学科2年

 



■ 岩手県陸前高田市田束地区

宮城県南三陸町
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