東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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部落で唯一のお茶畑を守っている

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  • 話し手: 藤原和子さん
  • 聞き手: 川口圭大
  • 聞いた日: 2011年12月10日
  • 084/101
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一人の時間を大切に

 今住んでいる部落はみなさんまじめで、趣味とか楽しみはない。旦那さんが稼いだお金では趣味はしないの。洋裁してたために、着ない洋服を切って腕カバーとがバッグを作るのが好きだから、家で作ったりしています。旦那さんが69歳ぐらいまで働いていたんですけど、辞めだ方がいいと思っで、辞めだらゆっくり暮らしたいなって思って。家も新築にして、趣味をしたいから1つ部屋をもらって、服を作れるようにミシンを置いて何かを作れると思ったけど、津波でだめになっちゃった。

 ショッピングが好きなんです。店があった時はぐるぐる回ったりしてましたけど、今は気仙沼とかに行ったりします。あと一関に買い物にも出かけるんです。買い物は見るのも好きだし、買うとしたら服がな。誰も着てないような服を買います。その洋服が古くなっても気に入ってるがら、なかなか捨てられないでいるんだけど、津波で半分ぐらいになったがら整理できた(笑)。

 あと温泉に行ぐことも楽しみの1つ。車でちょっと遠いところとが行きます。温泉は八幡平や須川温泉、花巻の方の温泉に行ったりとが、県外だと箱根とがにも行ったことありますよ。近場でも片道2時間3時間ちょっとかかるけど、そういうところに行って、帰りは道の景色とがを見て帰ってくるんだけど。おばあさんがいたころは日帰りで行ける場所に一緒に行ったりしたんですけど。のんびりと車で一人で運転して、自分の世界でラジオをかけながら行くのが楽しいじゃないですか。お昼はおいしいものを食べて帰ってくる。日帰りで忙しい旅なんだけど息抜きができていい旅なんです。

 

この部落で唯一のお茶畑を守ってるの

 地域は津波来るぐらいだがら海が近いです。海も山もありまして、高田市小友町は高田市の中でも一番暖かいところで、雪もほとんど降らない。1年に1、2回しか降らない地方なので、北の方では採れないという、柚子とかお茶が採れます。自分のうちでお茶の木を植えてあるので、お茶を摘んで、5月になればJAで加工機があるので、お茶自分で加工して1年中飲んでます。

 今でもお茶は作ってるんですけど、福島の原発があったじゃないですか。そんで放射能がうんぬんかんぬんで、今年はやめましょうということだったし、私たちも5月の末にお茶の葉を採るんですけど、津波が来てから2カ月しか経ってなかったし、道具も流されちゃったもんですから、休んでもいいかなって思ったんです、毎年。一人でしてるんですけど、剪定もしたりとか、草を刈ったりとかするんですけど、収穫は私も一人じゃ退屈で寂しいから、採った分あげるから一緒に手伝ってと友達を呼んだりとが、一昨年は娘が東京から友達を3人連れてきました。で、家に泊まってお茶摘み体験もしたい、ていうので摘ませて。私が腕カバーとか長靴とか全部用意して、それを履いてやったんですよ。みんな喜んでくれたみたいです。それで田舎料理を食べさせたんですよ。働いていた病院の栄養士の人とかからも、珍しいから摘みたいといって、その人たちが摘みに来たんですよ。自分が摘んだ分の加工代は出すからというので、収穫して加工してがら友達にプレゼントしたりして喜ばれてるんですよ。

 私たちの部落にもどこの家にもお茶の木があるんですけど、皆さん20年前ぐらいから買ったものが出回ってくるようになったじゃないですか、みなさん買って飲むことになったので、摘んで飲まなくなったんですよ。この部落では今では私のうちにしかお茶の木はないんですよ。だから大切に守ってんですけど、お茶の木も毎日夏場は手入れしておかないと摘む時に大変だがらね、ずっと続けてやってるんです。旦那さんが退職した時に、テレビとかでは男の人が退職後にぼーっとしてしまうとか言ってるから、そうしないために一緒にお茶摘みしたりするために、守ってるんですよ。あと、自然のものを摘んで飲める楽しさもあるし幸せだから大切にしてるんです。お茶も摘む時にハーブみたいな匂いがあって癒されるっていうのがあるので、守ってます。機械があるうちは、ずっとやりたいと思ってるんです。

 

自然のものがいっぱい。それを新鮮な形で味わってもらいたい

 高田市は自然のものがいっぱいあるので。山の幸もあるし海もあるし、海は復興出来ないけど、お茶もあるので、利用したらいいなと、私の考えで。今はね、養蚕もやらなくなったがら、桑の葉のお茶もできるじゃないですか。柿もあるがら柿の葉っぱでもお茶にできるでしょ。それを販売したらいいなと思うんだけど、自然食品として。そういうのを、あるものを利用してね、生活の基盤にしていきたいなっていうのが私の思いなんだけど。海の物もいろいろある。例えばね、ホタテとがゴタゴタと調理しないで、ホタテの味がするのが好きなんだけど、あんまりホタテの味がしないような料理とがあるじゃない、マヨネーズかげたりとが。そういうのじゃなぐ、素材の味を生かしておしゃれに盛りつけたりして、食べさせた方がいいんじゃないがって、そしたら町にも人が来るんじゃないがと思うんですけど。調理人さんに頼むと何料理だか、ゴタゴタっどなって、これ何? 新鮮どか、新鮮じゃないのとが、分がらないようになってしまうのが多いじゃないですか。それが悲しいなって。新鮮なね、形で味わってもらいたいなって思うんですよ。

 

【プロフィール】

話し手:藤原和子さん

昭和19年8月1日に矢作町に生まれる。大工である旦那さんのいる小友町に嫁ぎ現在に至る。家族は旦那さんと娘さんと息子さんの4人で現在は旦那さんと2人暮らし。主婦業のかたわら、小友町で唯一のお茶畑を守っている。

聞き手:川口圭大

玉川大学文学部比較文化学科3年

 



■ 岩手県陸前高田市田束地区

宮城県南三陸町
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