東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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津波は直接見た人じゃないと分からないことがある

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  • 話し手: 村上リヱさん
  • 聞き手: 川口圭大
  • 聞いた日: 2011年12月11日
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滝沢ヒロアキに会えたのす

 夏ごろだったかな、渡辺謙さんと滝沢ヒロアキ(秀明)が来てくれたんですよ。それで渡辺謙さんは泣いてくれたんですよ。あの人サイン攻めにあってたんだよ。田舎では有名人にあったごと無いでしょ。来るのが珍しいことなんだよ。帽子にしてもらってる人もいたね。おらは飲み物のビンさしてもらったんでけど、その飲み物のビンに大切にしてたんだけど、どっかにやってしまったよ(笑)。

 おれすごく滝沢ヒロアキのファンだったのさ。見た時は感動したね。嬉しくて、拍手してしまったのさ。本当にこの人が滝沢ヒロアキなのか、特別ね、あそこの責任者が人がいるのす。人がたくさん集まる大きな施設の館長さんの生まれが小友なの。だけんどもその人ね、ヒロアキを呼びだして私に会わせてくれたんですよ。特別。出てきたときに私夢のようなのす。この人が本当にヒロアキだべかってね。「おばあちゃんどうもね、ヒロアキなんですよ」って言って握手してくれたんですよ。すごく優しい人なんだね。大河のドラマで見てたヒロアキがさ、顔隠してね、おらと握手してるときにね、誰も気づかないのす。テレビに見てるときと実際に会うと別物だよ。震えが来るほどかっこよかった。家の壁に貼ってあるんだけど。みんなに「誰これ?」って聞かれるんだけど、これおらの息子なんだよって自慢するのす。誰も分からないものなのかね。

 

馬車でここまで嫁に来たのす

 おらの生まれは広田で、結婚式が変わってんのす。来た時60年前だもの。広田から小友まで馬車で来たんだよ。珍しいんだよ。花嫁衣装着てきたよ。衣装はそんなにすごいものじゃなくてね、裾のほうに模様が入ってるだけなんですよ。部落の人呼んで大きな振る舞いしてもらったんだよ。旦那さんと2人で撮った写真と衣装は流れてしまったけんど。おらの時はす、今みたいに交際もなにもないのね。おらの相手になる人、どの人だか分からないのす、来るのす。どこで相手の人さ分かるかっていうと、袴さと白足袋履いてるのす。白足袋履いてる人だがらって言われてたがら、はあはあこの人なんだなって思うの。あんたたちみたいな現代の子には不思議でしょ。交際じゃなくても、見合い恋愛でもいいのす。私たちの親が押し付けてこっちさ行きなさい、あっちさ行きなさいってそうやってやるんだよ。泣き泣き。ほんとのことさ。おらも泣き泣き来たんだよ。いっぺんも会わない人と結婚するんですよ。想像できないでしょ。とてもとても。世の中は変わるけど人は変わらないのす。

 1人好きな人がいればみんなに好かれる。素敵な人も現れる。人に好かれるっつうことはいいことなの。素敵な人を手に入れたいなら、勝ち抜かなければいけねぇんだ。

 おらは悪いこと語ってねぇがら、糧にしてけれ。心の栄養に。そうしたらいいと思うよ。こんなことしたら教訓になるでしょ。なると思うよ。全然悪いこと話してねぇから。

 

【プロフィール】

話し手:村上リヱさん

昭和3年3月3日生まれ。83歳。震災時は、ル・プルズという大型のショッピングモールにいて、従業員さんのおかげで危機一髪で外に出られ、自力で高台の方まで登った。

聞き手:川口圭大

玉川大学文学部比較文化学科3年

 



■ 岩手県陸前高田市田束地区

宮城県南三陸町
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