東京財団×共存の森ネットワーク 被災地の聞き書き101

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負けない子供に育ってほしい

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  • 話し手: 吉田恵さん
  • 聞き手: 葉山大樹
  • 聞いた日: 2011年12月11日
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震災の時

 私自身、震災後1週間くらい家族に会えなかったので、子供たちがどういう気持ちになっていたかとかは分からないんです。1週間経ってやっと家族に会えた感じです。道路が通れる状態でなかったのと、保育所でお預かりしているお子さんがいたので保育所の方で寝泊まりしました。落ち着いてからやっと帰ってこれたという状態でした。

 長部保育所で被災して、最初、すぐそばの小学校から避難して上がってきて、そうこうしているうちに家が流されたり、津波がそばまで来て、ここは危険だなと感じた地区の人が保育所に避難してきて。保育所のホールに避難してきた時に、「家にあった米持ってきたから」とか「井戸あるから水汲んできた」とか言って下さる方がいて。そういう助け合いがね。

 「保育所に人が集まってるって聞いたから、家に野菜あっから獲りさ来て良いよ」とか言ってくれて本当に助かりましたし。でも、なんかそうやって頑張った人が2、3日後に倒れてヘリで運ばれて今も病院に入院していたりすると、頑張り過ぎたのかなって申し訳なく思います。危機的状況の時ってまず自分のこと考えちゃうのに、自分の家にあるものどんどん出してくれて、さらに「何か足りないものがあるか?」って聞けるような地域ってすごいなーって思う。全部が全部そういう良いことだけじゃないんだけど、やっぱ皆でやった方が良いのかなって。人のあったかい気持ちはありがたいなって思いましたし。相手は求めてないんだけど、これをどうやって返せばいいって、なんか申し訳ない気持ちもあったりします。この震災があって人の繋がりって大事だなって、すごく思いました。

 あと、日本人熱いなーって。いろんなとこから支援いただいて、こんなに、こんなにってくらい助けてもらって、日本すごいって思った。良いとこしか見えてない自分が幸せだなって思いながら、粗探ししたら色々出てくるんだけど、前に進んで行くには感謝の気持ちと、前向きな気持ちにならないと無理だと思うし。

 私たち自身も、ボランティアまでは出来ないけど、何かしらで活動しなきゃねって思います。昨日とかもバスで来て、がれき片付けてくれた方々もいました。ほんとありがたい気持ちと申し訳ない気持ちです。自分にやれることやるしかないので。

 

震災後の暮らし―避難所そして仮設住宅―

 ご飯とかは、一緒に避難所にいるお母さんたちが当番で朝ごはんも夕ごはんもやってくださったので。でもまだ電気がなかったので、夕ごはんは17時半とかすごく早い時間でした。私はその時間は帰って来られなかったから。帰ってくればもう20時とか21時とかで。もう消灯時間で、静かに入らなければという状態でした。

 どうしても仮設住宅って一人になる時間を作るのが難しくて、皆で台所たったら動けないし。6人家族なので、初めに3Kっていって3部屋ある部屋に入ったんですけど、ちょっと狭くて無理だろうってなって。親世帯と私たちと分けて仮設をお借りすることが出来ました。ちょっとしたスペースなのに洗濯機もあって冷蔵庫もあって流し台もあって。

 生活に関しては、野菜とかお米とか色々な支援をいただいて、私がご飯を作れる時は作ったり、作れない時はばあちゃんに作ってもらったり。大きい仮設住宅の集まりだから、炊き出しとか次々に色んなお話があるので助けてもらいました。買い物はモビリア(仮設住宅のある元キャンプ場)に売店があったり、ちょっと降りていけば仮設のイオンがあるし。前の生活みたいに、夜、何か食べたいって思ってコンビニ行くことは出来ないけど、全然なるようになるんだなって。次々とお店も出店されているし。ほんと最初のころと比べればとても良くなっています。

 

陸前高田は

 高田は良いところです。自分自身ここで育ったので、高田から出たことない人から言わせると、「ここはお店とか遊ぶとことか、何もないから嫌だ」って言われるんですけど、山もあるし海もある、空気も淀んでないし、良いとこだなーって思ってます。

 あと、周りの目があるから安全なのかなって思う。よく色んな人から見られていて、子供たちが何もない田んぼ道をてくてく歩いているだけで、「今日も子供たち歩いてたぞー」みたいな。ほんと周りの目があって、子供たちはのびのび遊べて良いとこだなと思います。

 でも、もうちょっと家の周りに友達がいてもいいかなって思います。遊ぶにしてもどこに住んでる子まで誘おうみたいな。良くも悪くも近所にあまり子供がいないですね。小学校は全体で100人はいないです。今度入る1年生は5人とか。本当に深刻な感じになってて。のびのび一人ひとりができるのは良いんだけど、それにしてももうちょっと仲間がいてもいいのかなってありますね。

 



■ 岩手県陸前高田市田束地区

宮城県南三陸町
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